2009年5月15日(金)「しんぶん赤旗」

今後、政治家に説明せず

番組改編問題 NHK会長が見解


 NHKの福地茂雄会長は十四日の記者会見で、「放送前に個別の番組内容を国会議員等に直接説明することは行っていないし、これからもない」とする見解を公表しました。放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会に提出する最終的なNHK見解に先立つ、中間的なものという位置づけです。

 見解は、問題となった番組「ETV2001〜シリーズ戦争をどう裁くか」について「NHKが自律した立場で自らの編集判断に基づいて制作したもの」とのべ、「政治的圧力を受けて内容を改変したり、国会議員等の意図を忖度(そんたく)して内容を改変した事実はない」と強調しています。

 一方で「編集経緯について『自主・自律を危うくし、視聴者に重大な疑念を抱かせる行為であった』などと、(BPOから)指摘されたことについては、真摯(しんし)に受け止めなければならない」としました。

 福地会長は、「過去のことは分からないが、私がNHKに来てから個別に説明した事例は聞いていないし、これからもない」と述べました。

 BPOから提起された検証番組については「番組に著しい誤りがあるわけではない」として、制作しない考えです。


解説

信頼回復ほど遠い“反省”

 十二日のNHK経営委員会で、放送前の番組を国会議員に事前説明することは「一切ない」と態度表明した福地茂雄会長。十四日の記者会見でも同様の所見を語りました。

 小丸成洋経営委員長とともに、NHKのトップ二人が“与党政治家との距離”を表明したことは、一定の意義を持ちます。二〇〇五年、番組改変が明らかになった当初、「(事前説明は)通常の業務遂行の範囲内」というNHKの姿勢を変えたのは、裁判をたたかった「バウネット」はじめ、真相解明を求める市民団体の運動でした。

 会見の中で出された「見解」には、NHKに自主・自律を求めた放送倫理・番組向上機構(BPO)の意見について、「真摯(しんし)に受け止めなければならない」と、反省の態度を示しています。

 ところが、番組改変問題の核心である自民党議員の圧力については強く否定。BPOが改変された番組の「質」を指摘したことについても、「強い疑問を感じる」と反論しています。

 これでは、「国会議員に説明しない」とする決意と矛盾します。BPOや市民団体が求める検証番組も作らないようでは、視聴者の信頼回復はおぼつかないでしょう。(佐藤研二)



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