2009年5月9日(土)「しんぶん赤旗」

韓国プロ野球

「年俸低すぎる」 選手が労組結成表明


 韓国のプロ野球選手たちが、労働組合の結成に向けた動きを本格化させています。八球団の選手約五百人でつくる任意団体・韓国プロ野球選手協会(選手協)は四月末、労組を結成すると表明。今月四日には、各球団二人の十六人からなる労組設立推進委員会の初会合を開きました。


 選手協の孫敏漢(ソン・ミンハン)会長(ロッテ・ジャイアンツ投手)は四月二十八日、ソウル市内で記者会見し、「協会を団体交渉権と団体行動権が保障された労働組合に転換する」と表明しました。

徹底的無視

 孫会長らは、「北京五輪優勝、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)準優勝など、韓国野球は世界のトップクラスに成長したが、選手らに対する処遇は以前のままだ。選手協は、韓国野球委員会(KBO)と球団に対話を求め、制度改善を提案してきたが、徹底的に無視された」と、労組の結成を目指すに至った背景を説明しました。

 韓国メディアの報道によると、プロ野球選手の半数が年俸三千万ウォン(約二百三十万円)以下で、そのうち約百四十人は最低年俸の二千万ウォン(約百六十万円)しか支給されていません。選手らは、待遇の改善に向けて、▽エージェント(代理人)制度の導入▽最低年俸の引き上げ▽年俸調整委員会への選手の参加―などの対策を求めてきました。

人事に反発

 KBOや各球団は、「プロ野球選手は個人事業主で、組合結成は認められない」という立場。「労組がなくても、対話で解決する余地がある」として、選手側との対話に応じる姿勢を示しています。

 しかし、選手協は、KBOが四月末の理事会で、政界への不正資金疑惑などで逮捕された李相国(イ・サングク)元事務総長を、次期事務総長に内定したことに反発。李氏は、二〇〇〇年に選手協が発足した当時のKBO事務総長で、選手協の結成を妨害しました。この人事に対し、選手側は「労組結成を弾圧しようとする意図は明らかだ」と態度をさらに硬化させています。(中村圭吾)



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