2009年5月5日(火)「しんぶん赤旗」

相次ぐ住宅メーカー倒産

前倒し入金は危険

業界団体“出来高払いで”


 今年に入り富士ハウス(浜松市)、アーバンエステート(埼玉県川口市)といった注文住宅メーカーの大型倒産が相次ぎました。両社あわせて二千人以上の施主が完成住宅の引き渡しを受けられない事態となっています。

 両社はともに、「前倒しで入金すれば工事代金を割り引く」と持ちかけていましたが、業界団体は「工事段階に応じた出来高で支払いを」と呼びかけています。

 悪質な支払い事例としては、倒産前日に千百五十万円を振り込ませたケースや、二千万円を受け取りながら未着工というものがあります。

 アーバンエステートの被害者は「早めに中間金を振り込めば5%引き」といわれ、百万円安くなると思い二千万円を支払いました。

 富士ハウスの場合、着工前に総額の七割を支払う契約書を作成。さらに「着工金先行入金にあたり、現状の円高差益の一部還元として御入金額の1・5%をサービスさせていただく」との書面を持って、営業担当者が前倒し支払いを促していました。

 被害者はいずれも、「どのみち支払う必要のあるもの、少しでも安くなるなら」と入金に応じました。ここに大きな落とし穴がありました。

 社団法人「住宅生産団体連合会」は「工事の出来高に応じた支払いとするようご留意下さい」として、次のような参考例を示しています。

 ◇支払い三回の場合―契約時20%、上棟時50%、完成時30%。  ◇支払い四回の場合―契約時10%、着工時30%、上棟時30%、完成時30%。  ◇支払い五回の場合―契約時10%、着工時20%、上棟時30%、内装着手時20%、完成時20%。

 富士ハウスもアーバンエステートも資金繰りが悪化した直後から前倒し入金に走っていました。早期入金は危険が大きく、出来高払いを原則とする必要があります。


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