2009年4月27日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

沖縄 やんばるの森 いま守るとき

生物多様性の宝庫


 南西諸島・沖縄島北部のやんばる(山原)の森は、世界でも有数の生き物の宝庫です。ノグチゲラ、ヤンバルクイナも地球上でここだけにすんでいます。米軍基地と林道開発で揺れる生物多様性の森に入ってみると…。


ノグチゲラ、ヤンバルクイナ 固有種あふれる

WWFジャパン自然保護室

花輪 伸一氏に聞く

 やんばるの森についてWWFジャパン自然保護室の花輪伸一氏に聞きました。

 森の中に入ると小さな尾根、小さな沢が複雑にいりくみ自分がどこにいるのか分からない。地表から高木まで、植物が密度高く茂りうっそうとしています。

 チョウがいっぱい飛んでいます。クモの巣を払いのけながらかきわけて歩くと、トカゲの仲間、川辺にカエル、尾根に出るとノグチゲラ…ヤンバルクイナにはめったに会えません。

 ここは亜熱帯の照葉樹林、イタジイ(スダジイ)の森です。地球上でここの森にしかいない生き物がたくさんいる。まさに生物多様性の宝庫です。

 琉球列島、沖縄は動物地理学からいうと、ユーラシア大陸と東アジア地域の中間、移行帯にあります。北と南の生き物の境目ですから、いろんな生き物がすみます。

 日本列島全体も中国大陸とつながったり切れたりを繰り返し、生き物が孤立し独自に進化し生物多様性に富んでいます。そのような沖縄の地理的位置から、ここにしかいない固有種がきわめて多いのです。東洋のガラパゴスとよばれます。

 地球上でやんばるにしかいない鳥の代表はノグチゲラとヤンバルクイナです。アカヒゲ、ズアカアオバトは南西諸島にしかいない。昆虫ではヤンバルテナガコガネが有名です。カエルは美しいイシカワガエル。トゲネズミ、ケナガネズミも南西諸島の固有種です。みんな国の天然記念物です。

 ノグチゲラがイタジイの木に巣穴をつくると、ケナガネズミが入り込む。木の穴が腐ってくると、日本最大の甲虫ヤンバルテナガコガネがすみつく。森を合理的に使っています。

 昔からの林業は、必要なとき必要な木材を切り出す。人々は持続的に、破壊しないで森を利用してきました。近年は破壊に近い。

 本土復帰後、補助金目当てのおおがかりな林道建設によって森の伐採が進みました。雨が降ると赤土が川から海に流れ、海が真っ赤になる。サンゴ礁が死に、ジュゴンの主食になる海草(うみくさ)の藻場が枯れてしまう。

 小さな島の森と川と海はつながっています。沖縄では昔から「山ヌハギーネー、海ンハギーン(山が荒廃すれば海も荒廃する)」といわれてきました。森を壊せば、サンゴやジュゴンの海を壊す。

 やんばるの森にある米海兵隊北部訓練場で新たなヘリパッド建設を進めています。それに伴う周辺の「環境アセス」(那覇防衛施設局)のデータをみると、すごい数の生き物が記録されています。動植物の種は四千を超え、レッドデータブックにのる絶滅のおそれのある種は沖縄県版で百八十八(環境省版で百七十七)、やんばるの固有種は二十三にもなります。

 世界遺産の候補地でもある地球の宝を、米軍基地という軍事施設で壊してはいけない。WWFジャパンとして中止を求めています。地球レベル、世界レベルで考え、やんばるの森と生物を守る活動にとりくんでいます。(聞き手・上田明夫)

地図


 WWFジャパン WWF(世界自然保護基金)は100カ国以上で活動する世界最大の自然保護NGO。絶滅の危機にある野生生物の保護を目的に1961年スイスで設立。


基地、林道建設で壊すな

党県議 嘉陽 宗儀氏の話

 やんばるで、大規模に森と海を破壊する名護市辺野古沖への米軍新基地、東村高江の米軍ヘリパッド(ヘリコプター着陸場)、県による林道の建設計画が強行されています。

 林道建設には環境省さえ、森と貴重な動植物、澄んだ海を次代に引き継ぐ責務があり問題がありすぎると指摘しています。やっていることは、イタジイの森の皆伐です。

 ヘリパッドの高江集落は、やんばるの森の中。米軍北部訓練場(ジャングル訓練センター、七千八百ヘクタール)と隣り合わせです。貴重な植物がたくさん生息しています。まともな環境アセスさえしないことを私たちも県議会で追及してきました。住民の座り込みや裁判闘争、世論の高まりで建設がストップしています。

 ここから南へ四十キロに普天間飛行場移設が計画される辺野古があります。大浦湾はジュゴンの生息地です。世界最大級で北限のアオサンゴ群落も見つかっています。

 高江や辺野古の新基地、林道を許せば、森と海から動植物が追われる。世界的に保護を求められているジュゴンやヤンバルクイナも危ない。米軍が行き交い、米軍機が飛び交う、やんばるになる。こんな愚行は許せない。

 住民や平和団体はもとより、自然保護団体が地球環境、生物多様性を守れと立ち上がっています。最近の大きな特徴です。私たちとの交流や共同行動も広がっています。計画中止まで全力をあげます。


 生物多様性 いろいろな生物がいて、いろいろな種、遺伝子、生態系がバラエティーに富んで存在していることを指します。人間のいのちと暮らしに密接に結びつき、近年、国際的関心が広がっています。来年10月、生物多様性条約の締約国会議COP10が名古屋市で開かれます。2010年は国連が定めた「国際生物多様性年」。



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