2009年4月27日(月)「しんぶん赤旗」

役所から貧困広げるなんて

官製ワーキングプア集会 職場から報告


 「役所から貧困を広げるなんて許せないぞ」―。壇上にかかげられたプラカードに大きな拍手がおきました。二十六日、東京都内で開かれた「なくそう官製ワーキングプア 反貧困集会」では学校、図書館、保育園、清掃などさまざまな公務・公共サービスにかかわる職場からの報告が相次ぎ、シンポジウムが行われました。

 悪質訪問販売や製品事故などの相談に乗る東京都消費生活総合センターで働く消費生活相談員は、五年での雇い止めを告げられているとのべました。昨年八月に労働組合を結成したことをのべ、「専門的知識、経験の積み重ねができる職場を目指したい」と語りました。

 東京都荒川区では、非常勤職員制度を見直させ、主任非常勤、総括非常勤などの新たな職層を設けさせ、職責に見合った報酬額を勝ち取ったことを報告しました。

 「解雇されたのは残業をしたからとしか考えられない」と発言したのは、東京都足立区の図書館長。図書館の管理運営を受託したバスの修理会社に雇用され、読書習慣を広げたいと業務を忠実にこなし、貸出冊数なども増やしてきましたが、解雇通知をされました。残業もいとわず働いてきたため、「コスト高」とみなされたと告発しました。

 シンポジウムで発言した自治労連の川西玲子副委員長は、貧困と格差なくせの大きなうねりがおきるなか、官製ワーキングプアの問題も浮上し、告発だけでなく、公務・公共サービスはこれでいいのか声がひろがっていると強調。自治労連の自治体キャラバンや各地のとりくみも紹介し、住民と一緒に運動をつくってきたとのべ、「正規も非正規も公務も民間も手をつなごう」と訴えました。

 自治労・越谷市職の山下弘之さんは、直接雇用の不安定化から間接雇用の不安定化へと変わってきており、「自治体から現場がなくなっている」と指摘。埼玉県ふじみ野市の市営プールの事故の背景に委託料の急激な低下などがあるとのべ、雇用の引き継ぎなどを求めるとともに、入札改革を求めていく必要があるとしました。

 『週刊東洋経済』の岡田広行記者は、公共事業のアウトソーシングに関する矛盾が顕在化し、規制改革が小泉改革の「負の側面」とみなされるようになったと指摘。官製ワーキングプアの驚くべき労働条件をのべ、中央官庁や自治体など公共部門が低賃金労働をつくり、公共サービスの質の低下をもたらしているとのべ、「公務員は少なければいい」と言えるのかが問われているとのべました。

 集会では、韓国から民主労総公共運輸連盟全国公共サービス労働組合のユ・ナンミ(柳男美)さんが特別報告をしました。



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