2009年4月26日(日)「しんぶん赤旗」
福知山線事故
なぜ 問い続けた4年
遺族ら追悼の集い
百七人の命を奪い五百六十二人の負傷者を出したJR福知山線脱線事故から四年がたった二十五日、JR西日本の社会的責任について改めて考えようと「追悼と安全のつどい2009」が兵庫県尼崎市内で開かれました。
![]() (写真)JR福知山線事故現場付近の献花台前で、手を合わせる関係者=25日午前、兵庫県尼崎市 |
「4・25ネットワーク」や被害者の連絡会などによる実行委員会が主催。遺族や負傷者ら約六百人が集まりました。
妻と妹を亡くした淺野弥三一・同ネットワーク世話人は、JR西日本側の構造的問題を追及し、被害者と有識者をまじえた「尼崎脱線事故検証委員会」を設置すべきだと訴えました。
作家の柳田邦男氏は、被害者の視点が重点化されてきた歴史的な経過を説明し、加害者側が事故当初からの情報提供や調査報告を徹底する必要性を強調。「失敗学から危険学へ」と題して講演した畑村洋太郎・工学院大教授は、各地の事故の事例を紹介し、各企業で「失敗知識」が孤立している現状などを問題視しました。鉄道安全推進会議の佐藤健宗事務局長が、国内の被害者支援の課題について報告しました。
雨の中献花
この日、尼崎市内ではJR西日本主催の「追悼慰霊式」が行われたほか、JR尼崎駅近くの事故現場では、降りしきる雨の中、近くに設けられた献花台に遺族や負傷者らが次々に訪れて献花し、事故発生時刻の午前九時十八分には黙とう。犠牲者を追悼し、鉄道の安全を願いました。
事故車両に乗っていた男性(39)=自営業=はJR西日本側の事故調査に対し、「事故調査委員会以上のものが出せないのは納得できない。愚ろうされてきた四年間だった。自らの口で説明責任を果たすべきだ。『安全』といっても根っこがない」と話しました。


