2009年4月21日(火)「しんぶん赤旗」

新たな関係へ 中南米・米国

キューバとの「対話」も

米州サミット閉幕


 【ポートオブスペイン(トリニダード・トバゴ)=西村央】当地で開かれていた第五回米州首脳会議は十九日、首脳宣言を採択して閉幕しました。会議で最も論議が白熱したのは、正式議題ではない米国による対キューバ制裁問題。半世紀近くにわたるキューバ制裁をめぐり、オバマ米大統領が「対話」の方向に転換することを表明するなど、今回の会議は米国と中南米諸国の関係が一つの転機を迎えたことを示しました。


 オバマ氏は十七日の演説で、人権、言論、経済問題など「幅広い分野でキューバ政府にかかわっていく用意がある」と外交方針の転換を表明しました。背景には、四十数年にわたるキューバへの経済制裁や米州首脳会議からの排除をやめて正常な関係の確立を求める中南米諸国からの強い要求があります。こうした主張が今回の首脳会議で噴出しました。

 オバマ氏が米州首脳会議前に送金や渡航制限の撤廃を表明したのは、ブッシュ政権の政策と対照的です。オバマ氏は「不信の数十年を克服するには、長い旅路を経なければならないが、新しい時代に向けてできることはある」と語りました。

 中南米は「米国の裏庭」と呼ばれ、軍事的経済的干渉にさらされてきました。今回の首脳会議にあたり、米政府高官は「各国の言い分を聞き、議論し、パートナーとして諸問題にとりくむ」と修正を印象付けていました。

 オバマ氏は十九日、会議終了後の会見で、「各国指導者からキューバの話を聞いて興味深かったのは、数千人のキューバの医師団が周辺国に送られ、それら諸国が(キューバの医師に)深く依存していることだった」と表明。一方で米国の中南米諸国への関与について、麻薬取り締まりや軍隊ではなかったか、と振り返りました。

 ロイター通信によると、ブラジルのルラ大統領は首脳会議を振り返り、「米国とラテンアメリカとの関係で新しい時代につながるきっかけとなった」と語っています。

 米国を強く批判してきたベネズエラのチャベス大統領も「焦点の置き方に違いはあるが、一緒に仕事をするという政治的意思を感じる」とオバマ氏の印象を語っています。


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