2009年4月19日(日)「しんぶん赤旗」
米州サミット スタート
米国主導が悲劇生んだ アルゼンチン大統領
誤った仕組み改善する 米大統領
金融危機 転換求める声相次ぐ
【ポートオブスペイン(トリニダード・トバゴ)=西村央】十七日に当地で始まった第五回米州サミットの開会式の演説では、中南米諸国にも深刻な影響を与えている金融危機対策のために、根本的な転換を求める訴えが続きました。
アルゼンチンのフェルナンデス大統領は、巨額の金融取引への規制がないまま金融危機の影響が全世界に広がったことや、米国が主導してきた国際金融政策であるワシントン・コンセンサスが「社会的悲劇を生んできた」ことを指摘。「今こそ、各国間の調整や協力を可能とする転換を果たすべきときである」と訴えました。
オルテガ・ニカラグア大統領は、「世界は今、資本主義の経済的支配の下にある」として危機が途上国にも広がっていると述べ、「資本主義的システムではなく、これに代わる新しいモデルをつくり上げることが必要だ」と表明しました。
最後にあいさつに立ったオバマ大統領は、先にロンドンで開かれた主要二十カ国・地域(G20)金融サミットで、世界的な危機の影響で苦境に立っている発展途上国・新興国向けに、総額一兆ドルを超える振興策で合意したことを指摘。
「米国には、世界の金融センターの一つとして誤ったシステムを改善するために、地球上のパートナーとともに働く特別の責任がある。そうしてこそ、金融危機の再発を防ぎ、米国と中南米諸国の双方で、バブルではない持続的成長につながる経済拡大が達成できる」と表明しました。
首脳会議直前、会場のホテル内でオバマ大統領がチャベス・ベネズエラ大統領に歩みより、二人が握手し言葉を交わす場面もありました。
ワシントン・コンセンサス 中南米では一九八〇―九〇年代、膨大な対外債務の返済猶予の条件として、規制緩和、貿易・金融の自由化、民営化などが、米国主導の下、国際通貨基金(IMF)、世界銀行、多国籍金融機関によって押し付けられました。米国政府、IMFなどがワシントンを本拠としているため、ワシントン・コンセンサス(意見の一致)と呼ばれました。

