2009年4月19日(日)「しんぶん赤旗」
アラブ和平案を採用
中東政策 米高官が初の明言
【カイロ=松本眞志】ミッチェル米中東特使は十七日、訪問先のパレスチナ自治区のラマラで会見し、「中東包括和平構想(アラブ和平案)は、パレスチナ国家実現をめざす米国の政策の一環となるべきだ」と述べ、「二国家共存は唯一の解決策」と強調しました。
米高官が公式にアラブ和平案を米国の中東政策に取り入れると宣言したのは初めて。前日の訪問で、「二国家共存」に難色を示した右派主導イスラエル政権に対するオバマ政権の明確なメッセージともなりました。
アラブ和平案は、イスラエルの占領地からの撤退、一九六七年の第三次中東戦争以前の境界を国境とした、東エルサレムを首都とするパレスチナ国家の実現、パレスチナ難民の帰還権の保障―を条件に、アラブ諸国がイスラエルとの関係正常化をめざすというものです。
一方、ミッチェル発言にはアラブ和平案を米国の中東政策にどのように具体化するのかについての言及はありません。
パレスチナ自治政府のアッバス議長はこの日の会談でミッチェル氏に対し、「二国家共存」だけではなく、過去の合意の誓約、入植地拡大の凍結、パレスチナ人住居の破壊行為の阻止などを前面に、イスラエル政権に対して圧力をかけるよう求めました。
会談後、アリカット・パレスチナ解放機構(PLO)交渉局長は声明を出し、二国家共存を目指す和平路線に否定的なイスラエルのネタニヤフ新政権を交渉相手にしない姿勢を明らかにしました。

