2009年4月19日(日)「しんぶん赤旗」
対キューバ外交転換
米大統領“新たな始まり追求”
【ポートオブスペイン(トリニダード・トバゴ)=西村央】オバマ米大統領は十七日、当地で開幕した南北アメリカ三十四カ国が参加する第五回米州首脳会議(米州サミット)の開会式のあいさつで、「キューバとの間で新たな始まりを追求する」と言明し、これまでの対決姿勢からの転換に踏みだすことを明らかにしました。
前日十六日には、キューバのラウル・カストロ国家評議会議長が、訪問先のベネズエラで、「人権でも報道の自由や政治犯の話でも、彼ら(米国)の望むことはなんでも協議できる」と発言していました。
オバマ大統領は「これまでの不信の数十年を克服するには長い旅路を経なければならないが、新しい時代に向けてわれわれができることはある」との考えを表明。人権、言論、経済問題など「幅広い問題でキューバ政府とかかわっていく用意がある」とのべました。
オバマ大統領は首脳会議直前に、米国が四十七年にわたって続けてきた禁輸政策のうち、在米キューバ人の渡航や送金規制の撤廃を打ち出していました。
この日の演説は、これをさらに一歩踏み込んだもの。「われわれは米国・キューバ関係を新しい方向に動かすことが可能だと信じている」とのべました。ただ、経済封鎖の解除については明言しませんでした。
米州首脳会議 米州自由貿易地域(FTAA)の創設を目標に、クリントン米大統領(当時)の呼びかけで一九九四年に始まった会議。キューバを除く米州三十四カ国の首脳が招待されます。米州機構(OAS)と参加国が重なり、米州全体の問題を議論しますが、同機構とは別組織です。

