2009年4月10日(金)「しんぶん赤旗」

漢検協会

不十分な運営改善策

親族企業との取引温存 6月の検定料は下げず


 公益法人なのに巨額の利益を計上し、不透明な運営が問題となり、文部科学省から改善指導を受けた財団法人「日本漢字能力検定協会」(京都市、大久保昇理事長)が、ファミリー企業二社との取引解消など、運営改善策をまとめたことが九日までにわかりました。しかし、不透明な取引の大半を占める他のファミリー企業二社との取引はそのままです。


 文科省は三月十日、(1)検定料引き下げと他の公共事業の充実(2)関係四企業との取引の検証(3)漢字資料館を名目に約六億七千万円で購入しながら活用していない京都市左京区の豪邸の土地建物の使用・処分計画の作成(4)大久保家の墓に隣接して建立された「供養塔」は目的外支出で、建設費約三百五十万円の弁償を含めた改善策の検討―など「改善を要する事項」を通知。四月十五日までの改善報告書提出を求めています。

 ファミリー企業四社は、大久保理事長(73)が代表の出版社「オーク」、広告会社「メディアボックス」、調査会社「文章工学研究所」と、理事長の息子の大久保浩副理事長(45)が代表の情報処理会社「日本統計事務センター」。二〇〇六年四月以降、計約六十六億円が漢検協会から業務委託費などの名目で流れており、問題になっていました。

 協会は、週内に開かれる理事・評議員会に改善策を諮るとみられます。

 協会関係者によると、改善策は、二月に設置した内部調査委員会がまとめました。取引解消を決めたのは、約八億円で広報業務などを委託した「メディアボックス」と、約千五百万円で調査研究を委託した「文章工学研究所」。京都市左京区の豪邸の売却も決めました。

 ところが、検定料決済、採点処理などを約三十一億円で委託した「日本統計事務センター」と、協会の教材出版業務請負や事務所賃貸料など約二十七億円の「オーク」といった中心的なファミリー企業には、触れられていません。

 一方、六月二十一日に実施する今年度一回目の漢字検定の受け付けは、三月一日から開始(五月二十日まで)していますが、一―十級で五千―千五百円の検定料は、文科省の指導に応じず、据え置いたままです。

 漢検協会は、〇六、〇七年度で計十四億円もの収益をあげており、抜本的な改善策が求められています。


 日本漢字能力検定協会(漢検協会) 文部科学省所管の公益法人。文部科学省が後援する「日本漢字能力検定」を実施、二〇〇七年度は約二百七十万人が受検しています。ファミリー企業や理事長、副理事長から京都府内の自民・民主の国会議員ら四氏の後援会や関連団体などに計九百四十二万円を献金していました。


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