2009年4月10日(金)「しんぶん赤旗」

米科学者連盟など新提言

米政権に核軍縮迫る

現政策は先制攻撃可能に


 【ワシントン=西村央】米科学者連盟(FAS)と天然資源防衛評議会(NRDC)は八日、核兵器廃絶に向け、米国の政策転換を迫る新たな核政策提言を発表しました。

 「対兵力攻撃から最小限抑止へ」と題したこの報告は、「(旧ソ連との)冷戦終了後も核兵器を保有し続けていることは米国と世界を安全にするのではなく、むしろ危険にさらすことになる」と指摘。一九六〇年代初め以来、米国の戦略兵器の主要な任務は、相手の兵器、特に核兵器や指揮系統を標的とする「対兵力攻撃」であったことをあげ、こうした任務を永続させることは核兵器を警戒態勢に置き、先制攻撃を可能とするものでもっとも危険であると強調しています。

 新たな政策では、現在の核ドクトリンを見直し、対兵力攻撃用の核兵器の廃棄を要求しています。そして、限定的な抑止の任務を持ったものに置き換え、これを核兵器ゼロへの道筋での移行的な措置として採用すべきだとの構想を示しました。

 さらに米国のリーダーシップのもとで、他の核保有国が地球規模での核廃絶という目標に向けて関与するよう進めていくべきであると提起しています。

 この新政策発表にあたって、NRDCの上級研究者で、新政策の共同執筆者でもあるロバート・ノリス氏は、「オバマ大統領はすでに核兵器のない世界に向けたアメリカの責任を表明し、第一歩を踏み出した。われわれは軍縮を現実のものとするために、米国の政策で必要とされる大胆な転換を示した」と述べています。

 FASとNRDCは昨年二月、研究者団体「憂慮する科学者連盟」(UCS)との三者共同で、「核兵器の脅威を取り除き、最終的禁止に向けて世界をリードする」役割を果たすよう米国の次期大統領に求める声明を発表しています。


 米科学者連盟(FAS)と天然資源防衛評議会(NRDC) FASは原爆を開発したマンハッタン計画に参加した科学者によって一九四五年に設立されました。科学者は公衆と政治指導者に科学・技術の進歩による危険を警告する独自の責任があるとの理念に基づいて環境、エネルギー、安全保障問題などでの提言を行っています。NRDCは七〇年に環境運動に携わっていた法学生、法律家グループによって設立、弁護士、科学者、政策専門家などが参加し、核兵器、環境問題で発言を行っています。



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