2009年4月10日(金)「しんぶん赤旗」

校長処分 再び断罪

七生養護学校事件 都に取り消し命令

東京高裁


 障害を持つ子どもたちに性教育を行っていた東京都日野市の都立七生(ななお)養護学校(現・七生特別支援学校)の校長ら教職員が、都教育委員会から処分を受けた問題で、元校長の金崎満さん(61)が都に対し、降任などの処分の撤回を求めていた裁判の控訴審判決が九日、東京高裁でありました。大谷禎男裁判長は、「処分は裁量権の乱用にあたり違法だ」として都に処分の取り消しを命じた一審の判決を支持し、都側の控訴を退けました。

 都教委は二〇〇三年九月に「不適切な性教育」を行っていたとして、金崎さんを処分したと発表。しかし、その後の説明では、いっさい性教育の問題について触れず、「学級編成の不適正」など別の理由を持ち出し、停職一カ月と教諭への降任の処分を強行しました。

 判決は、一審と同じく「不適正な学級編成」を認める根拠はないと判断。処分は「社会通念上著しく妥当を欠いて裁量権を乱用して」いるとしました。

 金崎さんは、判決後の会見で、判決が、学級編成を工夫した同校の実践について詳しく言及したことにふれ、「きめ細かな指導を評価した意義のある判決。障害のある子どもに行ってきた教育が正しかったと感じている」とのべ、都は上告せず、判決に従うよう求めました。


 七生養護学校事件 東京都立七生養護学校では、障害を持つ子どもたちが自分の体をきちんと理解できるよう性教育を実践。保護者からも支持されてきました。この実践を自民、民主両党の都議が「過激性教育」と攻撃。都教育委員会は教材を没収するとともに、校長だった金崎満さんら教職員を大量に処分しました。三月十二日には、同校の元教職員、保護者らが訴えた裁判で東京地裁が都議と都教委に違法行為があったとして損害賠償を命じる判決を出しました。



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