2009年4月4日(土)「しんぶん赤旗」

主張

G20首脳会議

公正な経済秩序が求められる


 世界経済が戦後初のマイナス成長という危機に直面する中、米欧日など先進国やブラジル、中国、インドなど新興国が参加する二十カ国・地域(G20)の第二回首脳会議が開かれました。昨年十一月開かれた第一回の首脳会議が危機を協調して乗り越えるとともに、二度と危機を起こさせない改革を確認したことを受け、その具体化をはかるためです。

問われる危機の根源

 第二回首脳会議は途上国への支援を含む景気対策、金融機関への規制、国際金融機関の改革、貿易拡大などに合意しました。

 会議は世界の経済・金融のあり方が大きく変わりつつあることを示しました。危機の根源は、米国が市場を徹底的に自由化し、金融を投機の場に変えたことにあります。規制緩和や民営化などを柱とする弱肉強食の「新自由主義」の破たんは鮮明です。

 「小さな政府」を追求してきた米国は、自らが生み出した危機の中で景気刺激に躍起です。政府の行動なしには経済が立ち行かないことを浮き彫りにしています。首脳会議の議長を務めたブラウン英首相は、新自由主義を世界に押し付ける役割を果たした「ワシントン・コンセンサス」の「終えん」を宣言しました。

 破たんした新自由主義に替わって、公正で民主的な国際経済・金融秩序の建設がいまこそ求められています。

 会議はたんなる「景気回復」だけでなく、「公正で維持可能な世界経済の基礎をすえる」ことを確認しました。危機でとりわけ打撃を受けている貧困国をはじめ、先進国でも社会的弱者に焦点をあてた雇用創出、所得補てん、教育・訓練、能動的労働政策を呼びかけています。温暖化対策も新たな経済秩序の一環です。

 金融機関の規制では、第一回首脳会議で規制に強く抵抗した米国も、投機集団・ヘッジファンドや銀行、格付け会社、租税回避地(タックスヘイブン)の規制などに同意し、ルールある金融秩序の構築に向けて前進をみせています。

 もちろん、一日だけの首脳会議がすべての問題を解決したわけではありません。合意の多くは当面する危機への対応が中心で、危機がおさまるとともに改革の意気込みが薄れる可能性も残しています。

 改革の前進には世界世論の支持が欠かせません。国際社会と市民生活に大きな影響をもつだけに、G20が世界の経済力の80%を超えるというだけでは十分な正統性をもちません。国連総会議長が改革を国連のもとで進めるよう提案していることは重要な指摘です。

反省欠く日本政府

 首脳会議で存在感を欠いたのが麻生太郎首相です。首脳会議は金融規制で各国の規制当局の役割が大きいことを示唆していますが、麻生首相はこれまでの規制緩和政策に反省もなく、会議でもイニシアチブを発揮できませんでした。

 次々に景気対策を打ち上げるものの、従来型の対策は外需依存を脱却せず、首脳会議が求めた雇用創出の課題や「公正な労働市場」構築からも隔たっています。

 規制緩和で非正規労働を膨張させ、いまなお違法な解雇を見過ごし、金融機関の貸し渋りを放置するなど、自公政府の姿勢は国民からみても、首脳会議の決定からみても許されません。


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