2009年3月30日(月)「しんぶん赤旗」

「かんぽの宿」 奇妙な人脈

日本郵政の売却責任者

買収側と関係深く


 日本郵政の西川善文社長の出身企業、三井住友銀行が大株主である「大江戸温泉」グループが「かんぽの宿」など八件を、建設費の三十分の一以下で取得していました。これは日本共産党の大門実紀史参院議員の追及で明らかになったもの。その後の本紙の調べで「かんぽの宿」売却をめぐり、買う側の関係者が売る側に回っているという奇妙な人脈が浮かび上がりました。


 日本郵政には、西川社長(代表執行役)を含め、「執行役」と呼ばれる幹部が二十人います。今回、オリックス不動産への一括売却が白紙となった「かんぽの宿」の売却問題で、同社の所有不動産売却の責任者として、マスコミに登場するなどした伊藤和博氏は、その一人です。

 西川社長の国会答弁などによると、伊藤氏は、西川社長が頭取だった三井住友銀行の関係者と知り合いという縁で、二〇〇七年七月、民営化の準備をおこなう準備企画会社に入社。同年十月、民営化と同時に、民営化された日本郵政の「執行役」に就任、現在にいたっています。

 その前は、「リクルート」のビル事業部を母体とし、一九九〇年三月にリクルートから分社独立した不動産会社「ザイマックス」(東京都港区赤坂、資本金約二十六億円)の常務(〇六年六月まで)でした。

 リクルートの社長、会長を務めた河野栄子特別顧問は、オリックスグループの総帥、宮内義彦会長とともに政府の「総合規制改革会議」のメンバーとして、「官から民へ」の旗振り役でした。

 旧日本郵政公社が〇五年―〇七年に実施した三回の社宅や保養施設などの一括売却(バルクセール)では、リクルートの関連会社だったマンション販売大手「リクルートコスモス」(現コスモスイニシア)が、企業グループの代表となって、いずれも落札しています。

 伊藤氏が常務だったザイマックスは非上場ですが、発行済み株式四万三千三百二十株のうち、約1・5%に相当する六百四十八株をオリックスが所有しています。

 一方、伊藤氏は、旧郵政公社のバルクセールに参加してきた大手不動産「長谷工コーポレーション」(東京都港区芝、資本金五百億円)とも接点があります。

 伊藤氏は、同社のグループ会社「長谷工アネシス」(同、資本金二十億円)と、ザイマックスとの合弁事業として〇四年六月に設立したビル管理会社「ザクテクノサービス」(同、二億円)の監査役にも〇五年五月まで就任していました。

 オリックス、リクルートに長谷工…。いわば、日本郵政の不動産を買う側と関連の深かった人物が、いまは売る側の責任者―。奇妙な構図です。



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