2009年3月28日(土)「しんぶん赤旗」

原爆症

虚血性心疾患も認定

高知地裁 入市被爆者が勝訴


 原爆投下直後の広島市に入った「入市被爆者」が、国が原爆症認定申請を却下したのは違法だとして、却下処分の取り消しと損害賠償を求めていた訴訟の判決が二十七日、高知地裁であり、小池明善裁判長は原告の訴えを認め、却下処分を取り消す判決を出しました。国は十六連敗となりました。

 訴えていたのは、高知県芸西村の上杉卓助さん(二〇〇四年死亡)の妻、二三子さん(81)ら。

 小池裁判長は、「放射性起因性を判断するに当たっては、審査の方針の基準でなく、放射線降下物による被爆の可能性や内部被爆の可能性を念頭に置いたうえで、放射性起因性を判断するのが相当である」として上杉さんが被爆した可能性は否定できないと結論づけました。厚労省が昨年四月から見直した「新しい審査の方針」でも積極認定の疾病に入っていなかった「虚血性心疾患」についても放射性起因性を認めました。損害賠償については認めませんでした。

 上杉さんは原爆投下後の広島市内で二日間被災者の救援活動に従事。〇二年に原爆症認定を申請しましたが却下され、〇六年に却下処分の取り消しを求めていました。

 報告会で二三子さんは「天国の夫も喜ぶと思います。この判決が世界平和につながるように」と語りました。

 支援してきた県原水協の和田忠明代表理事は「県内で初めて裁判で原爆症を認めさせた意義は大きい」と話しています。


 虚血性心疾患 心臓の筋肉への血液の供給が減ることや、途絶えることをいい、狭心症と心筋梗塞(こうそく)をいいます。


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