2009年3月21日(土)「しんぶん赤旗」

ソマリア沖派兵 民主「論点整理」

武器使用拡大の流れも


 民主党は十九日、政府の「海賊対処」派兵新法案提出をうけ、党としての「論点整理」(案)にもとづく論議を行いました。

 「海賊対策」を理由とした海上自衛隊のソマリア沖派兵論議が本格化するきっかけになったのは、民主党議員の国会質問でした。昨年十月十七日の衆院テロ対策特別委員会で民主党の長島昭久議員が「自衛艦による民間船舶のエスコート」を提案。これに麻生太郎首相は「ものすごくいいことだ。政党間協議をしたい」と応じました。

 自民、民主、公明、国民新各党の「防衛」族議員でつくる「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」の総会(五日)では、「海賊対処」派兵新法案推進で一致。同議連の代表幹事を務める民主党の前原誠司副代表も「もともとこの海賊対策についての議論というのは、わが党の長島昭久議員が委員会で質問し、具体的に進んでいったもの」「新法となればわれわれもしっかりと議論していかねばならない」と表明しました。

 十三日には民主党の直嶋正行政調会長が「武器使用権限の拡大等の論点があり、今後(法案の)内容を精査していくが、国連海洋法条約に基づいて国内法の枠組みを整備する方向性は、民主党も同様の問題意識を持っている」としました。

 政府案の問題点の一つは、「制止」を振り切って進む海賊船の「進行を停止」させるために、「正当防衛」の範囲を超えて自衛隊による武器の使用を認めていることです。従来の派兵法では認められなかった「任務遂行のための武器使用」を「海賊対策」を口実に突破しようとするものです。

 「海賊対策で自衛隊を出すというなら武器使用基準緩和は当然」(民主党政調メンバー)というように、民主党内には海外での武器使用拡大を容認する主張が根強くあります。もともと民主党は、国連決議に基づくかぎり、自衛隊が海外で武力行使することも許されるという立場(政権政策の基本方針、二〇〇六年十二月)で、小沢一郎代表は、政権を取ればアフガニスタンのISAF(国際治安支援部隊)に参加すると明言(〇七年十月)。直嶋政調会長はそのための憲法解釈の変更まで表明しています(〇八年十月二十日)。

 〇七年十二月には、インド洋での給油継続法案への「対案」として国会に提出した「アフガニスタン復興新法案」で、陸上自衛隊のアフガン本土派遣とともに任務遂行のための武器使用を認めていました。(中祖寅一)



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