2009年3月17日(火)「しんぶん赤旗」
前最高裁長官が復職へ
政府、野党と衝突回避
パキスタン
パキスタンのギラニ首相は現地時間の十六日早朝、テレビで演説を行い、ムシャラフ前大統領に解任されたチョードリー前最高裁長官を復職させると発表しました。同長官の早期復職を求めていた野党活動家や法曹関係者らは大規模なデモを組織し、首都へ向かっていました。妥協を拒んでいた政権が野党の要求に応じたことで、最悪の衝突は回避されました。
米国が主導するテロ掃討作戦の最前線に位置し、事実上の核保有国でもあるパキスタンが政情不安に陥ったことに、懸念が寄せられていました。
ギラニ首相は演説で、同前長官を今月二十一日以降に復職させると表明。ザルダリ大統領の妻で二〇〇七年に暗殺されたブット元首相は前長官を復職させる意向だったと述べ、「大統領もそうすることを誓った」と語りました。
また同首相は、最高裁が二月に野党パキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派のシャリフ元首相らに被選挙権がないと決定したことについても、再検討することを表明しました。
この発表を受けてシャリフ元首相は、首都イスラマバードに向かっていたデモを中止しました。
パキスタン英字紙ニューズ十四日付は、与野党の緊張が高まる中で米国大使館がギラニ首相と接触し、野党側との妥協を図るよう要請したと報じていました。(安川崇)

