2009年3月16日(月)「しんぶん赤旗」

アフガン戦闘31%増

国連、情勢悪化を警告

総長報告 「軍事のみの解決ない」


 国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は十四日までに、昨年九月以降のアフガニスタン情勢と国連アフガン支援派遣団(UNAMA)の活動に関する報告書を取りまとめました。報告書は「今年はアフガンの情勢が悪化すると信じるに足る多くの理由がある」と警告しました。


 報告書は、二〇〇八年の軍事衝突の数が〇七年比で31%も増加したことを挙げ、「〇八年は(米軍がアフガン侵攻した)〇一年以後で最悪の年となった」と強調しています。さらに〇八年後半の六カ月の月平均の衝突数(八百五十七件)が同年前半の平均(六百二十五件)より増えており、状況が悪化していると指摘しました。

 米軍をはじめとする国際部隊と反政府武装勢力タリバンとの戦闘による〇八年の民間人死者は、二千百十八人に達しています。米軍などの軍事作戦に起因する死者が八百二十八人で、その68%が空爆だけによるものです。

 同国では今年八月に大統領選挙が予定されています。報告書は、今年一月の軍事衝突の数が前年同月に比べ75%も増えており、「この夏の前に治安状況が改善されることを示すものは何もない」「大統領選挙に向けた準備は、戦闘が激しくなる時期に行われることになる」と警告しています。

 とりわけ八月の大統領選前の五月に現大統領の任期が切れ、その間大統領の正当性が問われる事態になり、アフガン政府と国民、国際社会は「重大な試練に直面している」と強調しています。

 さらに報告書は「国の安定に向けた純粋に軍事的な解決策はない」とし、国民和解の政治プロセスを進展させる必要性にも言及しています。(田中一郎)


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