2009年3月11日(水)「しんぶん赤旗」

就学援助

学ぶ権利奪う

倒産・リストラ

受給者2倍に急増

国庫補助廃止

下がる支給基準・額


 深刻な経済状況のなかで子どもたちの学業が脅かされる事態が全国各地でおきています。学用品代などを公的に補助する就学援助を受ける子どもの数が急増するなか、援助の規模を縮小する地方自治体が生まれています。子どもの貧困が広がっているにもかかわらず、逆行する事態です。(鎌塚由美)


写真

(写真)子どもの貧困の状況について聞き取りをする山下芳生参院議員(奥)=2月、大阪市

 公立小中学校の児童・生徒総数のなかの就学援助受給者は一九九七―二〇〇六年度の十年間で、6・6%(約七十八万五千人)から13・6%(約百四十一万人)へと二倍に増加しています。

 経済的理由により就学困難と認められる小中学生は、全国で七人に一人に上っています。

 就学援助が急増する背景には、親の経済状況の悪化があります。文部科学省が、全国の教育委員会に行ったアンケート調査(〇六年)では、「企業の倒産やリストラなど経済状況の変化によるもの」が95%(複数回答)でトップに挙げられました。就学援助は、子どもたちの学ぶ権利を支える命綱であることは明らかです。

一般財源化に

 ところが日本共産党の塩川てつや議員(二月二十七日、衆院総務委)と山下芳生議員(九日、参院予算委)の質問で、就学援助を縮小する動きが明らかになりました。

 小泉政権による「三位一体改革」は、就学援助でも改悪を行いました。準要保護者の就学援助は、国が二分の一を補助する国庫補助で行われていましたが、〇五年度以降は廃止を決定。国が責任を持たない一般財源化されました。

 文部科学省の調査でも、〇五年度には百五の市町村で、支給基準の引き下げ、支給減額が行われたことが明らかになりました。しかし、それ以降の〇六―〇八年については文部科学省は調査すらしていません。子どもの置かれた深刻な状況を放置する政府の無責任な態度を示すものです。

150億円あれば

 認定基準の切り下げが続いていることは、「大阪市就学援助制度をよくする会」の調査でも明らかになっています。

 大阪府内の就学援助について毎年調査している同会によると、〇五年以降、認定基準の引き下げが、大阪府内の二十市中十七市で行われています。

 大阪市では、所得基準が三百二十八万円(〇五年)から三百九万円(〇八年)に、十九万円切り下げられました。柏原市では、三百四十六万四千四百三十三円(同)から二百九十二万八千四百三十三円(同)になり、引き下げ幅は五十三万六千円にも上ります。貝塚市では、三百十四万六千円から二百五十六万円に引き下げられました(五十八万六千円も減)。

 また、塩川氏の調査でも、埼玉県内では、所沢、鳩ケ谷、さいたま、富士見、狭山、川口の各市で、準要保護の基準の引き下げが実施され、約九百人の子どもが対象からはずされたことが分かっています(二月十二日衆院本会議)。

 日本共産党は、就学援助の縮小は逆行だと批判し、国が責任を持って元に戻すよう要求しています。就学援助を国庫補助に戻す必要財源額は、百五十億円です。政治の姿勢を変えれば就学援助の縮小をやめさせることができます。

グラフ

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グラフ

朝ご飯は食パンと水だけ/靴底に穴あいたまま/1週間ずっと同じ服

 山下芳生参院議員が大阪府内の教育関係者から聞き取った調査から

▼「生活保護か就学援助制度を利用している家庭の子が50%。朝ご飯は食パンと水だけでおかずなんてなしの子が増えている。靴底がすり減って穴があいたままの子も。いまの時代にこんなの見なかった」(公立小学校)

▼「親も子どもに手をかけられない。1週間同じ服の子もいる。しかも土日をはさんで。見かねて学校で洗濯することもしょっちゅう。お風呂に入れてもらって、清潔な下着にかえてもらって、食べるもの食べて、というのは当然のことと思っていたが、当然でなくなっている」(公立小学校)

▼「経済的困窮から夫婦仲が悪くなり、離婚話などになってくると、子どもは常に不安で落ち着かない。勉強どころではなくなる。そんなケースはいくらでもある」(公立小学校)

▼「中1の男の子。茶髪でとてもやんちゃな子だが、お母さんがダブルワークしていて、毎日夜になると出かける。彼は作文に『俺(おれ)はさびしいから、ふとんをかぶって寝ています』と書いた」(公立中学校)

国に本来の責任

自治体格差 許されない

 大阪教職員組合の渡部有子副委員長の話 就学援助の国庫補助が、〇五年に一般財源化されてから、学校給食がないところが多い大阪府内の中学校では、弁当の時間になると姿を消す中学生の話が報告されています。就学援助は、教育の無償化を保障する、政府の最低限のセーフティーネットといえます。国が本来の責任を自治体に丸投げし、自治体による格差が生まれています。それをなんとかするのが国の責任です。住むところによって子どもたちの学ぶ権利が脅かされる事態は許されません。


 就学援助 憲法二六条(義務教育の無償化)や学校教育法などの法律に基づいて、学校給食、学用品、修学旅行費などを援助するもの。生活保護法の教育扶助(要保護者)受給者と、それに準ずる程度に困窮している小中学生(準要保護者)が支給対象となります。



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