2009年2月26日(木)「しんぶん赤旗」
大阪府立児童文学館
移転なら資料返還を
寄贈の鳥越氏ら 知事に要望書
大阪府の橋下徹知事が府立国際児童文学館(吹田市)の廃止・府立中央図書館(東大阪市)への移転を強行しようとしている問題で、同館に資料を寄贈している児童文学研究者の鳥越信さんら三氏が二十五日、寄贈資料の返還を求める知事あての要望書を提出し、記者会見しました。
要望書は、知事が「寄贈者の思いに反するならば本をお返しする」と発言していることをうけて提出したもので、鳥越さん、伊藤元雄さん(南部新一児童図書記念文庫設立発起人代表)、古橋理絵さん(紙芝居などを収集する塩崎コレクション代理)の三氏の連名。
十五万点以上を寄贈している鳥越さんは会見で、児童文学館と図書館の違いとして専門員が資料を読み込み、世界中からのリクエストに正確にこたえ、情報発信ができるかどうかだと強調。「私が寄贈したのは図書館ではない。信義にもとる。広く閲覧に供するだけが目的の図書館では文化遺産としての貴重な資料が死んでしまう」とし、「単に戻せというのではない。予算は凍結し、資料が生かされる道を原点にもどって考えようと言いたい」と述べました。
同館は江戸時代末期から今日までの約七十万点の児童文学・文化資料が収集・保存・研究、活用され、世界的に高く評価されています。うち、寄贈は約五十万点にのぼります。
昨年九月府議会で全会一致で現地存続の請願が採択されましたが、知事は開会中の府議会に廃止条例案と移転費用五億八千万円を計上しています。
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