2009年2月12日(木)「しんぶん赤旗」

基礎年金の国庫負担引き上げ

“財源に消費税”道理なし


 現行では三分の一となっている基礎年金の国庫負担割合を、二〇〇九年度から二分の一に引き上げる年金法改定案が、今通常国会に提出されています。一九九四年に、衆参両院厚生委員会が引き上げの付帯決議を採択してから十五年。今回の引き上げは当然の措置であり、むしろ“遅きに失した”と言わざるを得ないものです。しかも、麻生政権は、懸案の解決を将来の消費税増税に託すという“決断”を下しました。

 高すぎる保険料、低すぎる給付額、保険料免除・滞納者の増加による深刻な制度の空洞化。年金制度が抱える問題の解決には、国庫負担の引き上げが不可欠です。

 歴代内閣も引き上げの必要性は認めざるを得ず、「九九年をめどに」(羽田内閣、九四年)、「二〇〇四年までに」(小渕内閣、二〇〇〇年)と、繰り返し引き上げ期限を公約。そのたびに約束をほごにしてきました。年金制度の空洞化を放置してきた歴代政府・与党の責任は重大です。

 自公が「百年安心の年金」と宣伝した〇四年の改悪年金法にしても、〇九年度までに安定財源を確保し、国庫負担割合を二分の一にすることを制度設計の大前提にしています。引き上げが実施できなければ、「すべての仕組みが崩れる」(自民党の鈴木俊一社会保障制度調査会長)ことになります。

 この改悪年金法に基づき、政府はようやく国庫負担の引き上げを決めました。しかし、そのために必要な二兆三千億円については、当面は「埋蔵金」と呼ばれる財政投融資特別会計の一般会計への繰り入れなど、臨時的措置で確保すると規定。恒久財源については、一一年度以降の「税制の抜本的な改革により所要の安定財源を確保した上で」とし、事実上先送りしています。

 政府・与党は、〇九年度税制「改正」関連法案の付則で、一一年度までに消費税増税法を成立させると明記しています。年金法改定案は事実上、消費税増税を、国庫負担の恒久的引き上げの前提としているのです。

 これまでも、自民、公明両党は、〇四年の年金改悪に際し、財源として、定率減税の廃止と年金課税の強化を主張。〇八年一月までに合わせて二兆八千億円の国民負担増となっています。しかし、そのうち基礎年金に回ったのは約五千五百億円と、二割弱にすぎません。実際には、大部分が同時期に実施された大企業・大資産家減税となっているのです。

 国庫負担引き上げの恒久財源を先送りする今回の年金法改定案は、国民との約束を重ねてほごにするに等しいものです。大企業・大資産家減税には手をつけず、年金制度という国民の老後の安心を盾に、新たな増税を迫る政府・与党の姿勢に道理はありません。(佐久間亮)



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