2009年2月8日(日)「しんぶん赤旗」

「派遣切り」ただすのは政治の責任

大企業代表を国会に

志位委員長提起に反響


 「財界・大企業経営者の国会参考人招致の要求は、まさに時宜にかなっている」「ぜひとも参考人招致を実現してほしい」―。日本共産党の志位和夫委員長が四日の衆院予算委員会で、日本経団連やトヨタ、キヤノン、パナソニックなど「派遣切り」を行っている大企業の代表を国会に参考人招致し、集中審議を行うよう求めたことが大きな反響を呼んでいます。


 志位氏は、「偽装請負」や「違法クーリング」など大企業の数々の違法を具体的に告発。派遣法の大原則が「常用雇用の代替禁止」であり、最大三年という派遣期間の制限がその担保であることをまず、政府に確認しました。そのうえで、「偽装請負」の期間は「派遣期間」に算入される、「違法クーリング」でも派遣期間は最初の派遣から通算される―などの重要な答弁を引き出しました。

 いま「非正規切り」にあっている労働者の多くは「偽装請負」が社会問題になった〇五、〇六年ごろに「派遣」に移行しており、三年の期間制限を超え、直接雇用されるべき人たちです。期間制限逃れをしてきた派遣先企業には直接雇用の義務が発生しているのです。このような違法状態で働かせておきながら、一方的に「雇い止め」にすることは現行法に照らしても違法です。それを放置せず、大企業に直接雇用義務を果たさせることが政治の重大な責務です。

 国会には、政府の対応・責任をただすとともに、国政調査権(憲法六二条)を発動して、実態を自ら調査し、必要な手だてをとることが強く求められます。

 予算委では九日に集中審議が行われることになりましたが、日本経団連の御手洗冨士夫会長は「スケジュールが決まっている」などとしており、参考人質疑は決まっていません。日本共産党の笠井亮議員は六日の同委理事会で「(スケジュールが合わないというなら)来られる日に呼ぶ方向で調整を」と主張しました。

 志位質問で、いま起きている「派遣切り」の大部分が違法状態で働かせたあげくの解雇だと明白になった以上、大企業の社会的責任を問い、その是正を図ることは、国会の責任です。

 歴史的にも、石油危機の際、便乗値上げや「売り惜しみ」に走った大企業の代表を国会に招致して、その横暴の是正を図った経験があります(一九七四年)。そのとき招致した経営者などは二十三人に及んでいます。

「現行法でもストップできる」

 派遣問題をとりあげた志位委員長の国会質問(四日)を見た人から、日本共産党本部には、現行法でも「派遣切り」の多くはストップできる、といった感想が寄せられています。

 「首相に言いたかったことを言ってくれた」。メールにこう書いたのは、昨年十一月に「雇い止め」にされた元派遣社員です。「派遣切り」にあった同僚や知人といっしょに国会中継を視聴。派遣先・派遣元企業の責任者を国会に呼んで「国会中継をしてほしい」といいます。 

 京都府八幡市の六十一歳の男性は、「いすゞ自動車、マツダ、パナソニックなど具体的な雇用の実態をきくにつけ、怒り心頭です。現行法でも多くの『派遣切り』はストップすることができる」と強調します。「『個別の企業のことは…』と逃げ、財界・大企業にハッキリもの申すと言えない首相に、この国のかじ取りをまかすことができるのでしょうか」と書きました。

 「派遣会社の営業社員」という人からもメールが。志位氏が指摘したような違法な働かせ方について「日本全国の工場で間違いなく行われています。是正をしてもらいたいですが、私自身、派遣会社の社員ですのでジレンマ状態です。助けがほしい」と書かれていました。

【Movie】「派遣切り」 大企業の無法をただせ 志位委員長が追及/衆院予算委員会 2009年2月4日


 偽装請負 派遣の場合は、派遣先から指揮命令を受けて働きますが、「請負」の場合は受け入れ先企業の指揮命令は受けません。「偽装請負」は、実態としては、派遣先の指揮命令で働く派遣労働なのに、契約上「請負」と偽り、受け入れ先企業が労働者派遣法の規制を逃れようとする違法行為です。

 クーリング期間 三カ月と一日以上派遣を受け入れない期間のこと。この空白期間があれば、継続した派遣とみなさないという厚労省の指針が出されています。大企業がこれを悪用し、みせかけだけの「クーリング期間」をはさむことで、派遣期間制限を逃れ、長期に派遣を繰り返すやり方が問題になっています。



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