2009年2月6日(金)「しんぶん赤旗」

核兵器廃絶へ条件づくり

前進へ具体的措置を提案

英政府呼びかけ


 【ロンドン=小玉純一】英国のミリバンド外相は四日、「核の影を取り去る―核兵器廃絶への条件づくり」と題する英外務省の政策文書を発表しました。文書は「核兵器のない世界を究極的に実現する」展望を視野に入れ、前進するための具体的な一連の措置を提案したもの。英国の反核平和団体などからは、自国の保有核に触れないとの批判の声もありますが、核兵器保有国政府がまとめた「核兵器廃絶」への方向性を示す提言として注目されます。


 文書は、「核兵器の世界的禁止に合意するためには、いま核兵器に依存している国々に対し、核兵器がある世界よりも無い世界の方が結局のところ安全なのだという確信を与える条件づくりが必要である」と強調。その三つの条件として、▽原子力発電の利用拡大と時を同じくして多くの国家やテロリストに核兵器が拡散することを阻止するための、すきのない手段▽核兵器の貯蔵を最小限にし、それを厳格に検証して制限する国際的な法的枠組み▽少数の核兵器をゼロにするための技術的、政治的、軍事的、制度的課題の解決―を提示しました。

 文書は、これらの条件づくりのため、「数年以内に実現しうる」ものとして、▽米ロの大幅な核軍縮▽包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効▽兵器用核分裂性物質生産禁止(カットオフ)条約の無条件交渉開始と進展―など六つの具体的措置を示し、英国政府が外交努力を強めるとしています。

 文書は、「核軍縮の欠如が核不拡散の国際協力を弱めている」とする議論に言及し、「新しい国家への拡散を阻止するため核軍縮を加速し、核兵器のない世界を究極的に実現する」というブラウン英首相の呼びかけを紹介。また「米国は核兵器のない世界をめざす」というオバマ米大統領の発言や、有力者の「核兵器のない世界」への支持に言及しています。

 文書は他方で、核兵器全面禁止条約を「時期尚早だ」と述べています。

国内から批判も

 反核団体の核軍縮運動(CND)は同日、声明を出し、「トライデント核ミサイルを無視した核政策は空虚だ」「トライデント更新と核軍縮のよびかけの両立は考えられない」と批判しました。


 包括的核実験禁止条約(CTBT) あらゆる空間(宇宙空間、大気圏内、水中、地下)での核実験、核爆発を禁止した条約。一九九六年九月に国連総会で採択。発効には九六年六月時点で国際原子力機関(IAEA)に指定されていた四十四カ国の批准が必要。米中両国のほか、イスラエル、印パ両国、イランなどが批准していないため未発効。

 兵器用核分裂性物質生産禁止(カットオフ)条約 高濃縮ウランやプルトニウムなど核兵器の原料となる兵器用核物質の生産全面禁止を目的とする条約。ジュネーブ軍縮会議は一九九五年に条約締結に向けた特別委員会を設置。しかし、米ブッシュ前政権が自国軍事施設への査察を嫌って「効果的な検証措置」を盛り込んだ条約に反対し、議論・交渉は停滞したままです。

 トライデント核ミサイル 英国の原子力潜水艦に積載された弾道ミサイル。ミサイル数は五十八基、総核弾頭数は二百発弱。原潜一隻には核弾頭四十八発が装備され、三隻のうち一隻が常時パトロールにあたっています。



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