2009年1月30日(金)「しんぶん赤旗」

沖縄戦記述の訂正申請を

出版社の拒否、不当

教科書執筆者らが声明


 高校日本史教科書の執筆者が、沖縄戦の「集団自決」について日本軍の強制性をより明確に記述するよう再訂正を求めたのに対し、出版社側が拒否したことが二十九日、わかりました。執筆者などでつくる社会科教科書懇談会が明らかにし、拒否は不当との声明を発表しました。


 同懇談会によると、二社の日本史教科書執筆者が、「集団自決」があった慶良間諸島の当時の戦隊長らが原告となった裁判の経過など教科書の訂正が必要な客観的事情の変化が生じているとして、軍の強制性をより明確に示す記述に改めるなどの訂正申請の提出をそれぞれの出版社に申し出ました。

 しかし、二社ともに執筆者の申し出を拒否し、今年度の訂正は不可能になりました。出版社側は、二〇〇七年度の訂正申請審査のさいに教科書検定審議会が示した「集団自決が、住民に対する直接的な軍の命令により行われたことを示す根拠は、現時点では確認できていない」との見解が訂正されていないことなどを、拒否理由にあげているといいます。

 執筆者の一人、坂本昇さんは「文部科学省は『問題は解決済み』という姿勢なので出版社はトラブルを避けるため慎重になっている。出版社と背後にいる文部科学省に強い抗議の思いをもっている」と話しました。



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