2009年1月30日(金)「しんぶん赤旗」

米兵裁判権法務省資料

国会図書館、一部閲覧可に

核心部分は黒塗り


 日本での米兵犯罪の処理に関する法務省のマル秘資料を所蔵している国立国会図書館が、同資料の利用制限措置を「利用禁止」から「条件付利用」(部分的利用禁止)に変え、一部が閲覧可能になっていたことがこのほど分かりました。しかし、日本が第一次裁判権を持たない「公務中の事件」に関し「公務」の範囲を示した記述や通達がすべて黒塗りにされるなど、肝心の部分は隠されたままになっています。

 資料は、法務省刑事局が一九七二年三月に作成した「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」(「秘」指定)。古書店で入手した国会図書館が一九九〇年から公開していましたが、昨年六月、法務省の圧力を受けて利用禁止の措置をとり、一般の閲覧ができなくなっていました。

 「条件付利用」の措置に変えたのは昨年十一月六日。国会図書館は「法務省から利用禁止部分の縮減の申し出があり、館として調査審議し、決定した」としています。

 閲覧できるのは、法務省が被覆(黒塗り)処理したものの複製です。

 黒塗りの主な部分は▽「公務中の事件」を「公の催事」での飲酒に起因する交通事故にまで拡大した日米合意を示す記述や通達▽米軍機の墜落事故が起きた場合に、米軍が「事前の承認なくして」、現場である私有地に立ち入ることができるとした日米合意に基づく通達―など。刑事裁判権に関する日米合同委員会の「合意事項」全文も隠されています。

 全四百九十一ページ中七十五ページは、ページ全体が黒塗りになっているとして、製本段階で割愛されています。



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