2009年1月24日(土)「しんぶん赤旗」

原爆症

却下2疾病を認定

鹿児島地裁 原告が全面勝訴


 鹿児島県に住む被爆者六人(うち一人死亡)と遺族が国を相手に、原爆症認定申請の却下処分取り消しを求めた訴訟の判決で、鹿児島地裁(小田幸生裁判長)は二十三日、原告のうち二人について、未認定だった前立腺腫瘍(しゅよう)と甲状腺腫瘍の二つの疾病を原爆症と認め、却下処分を取り消しました。原告らは、全面勝訴の判決であり、国は控訴するな、との声明を発表しました。

 認定された二人以外の取り消し請求は国の新基準適用後に認定されたことから却下。六人の損害賠償請求も棄却しました。

 訴状によると、原告は八十歳から八十三歳までの男女六人で広島市や長崎市で被爆しました。六人はいずれも新基準適用後に原爆症と認定されましたが、うち二人はそれぞれ二つの疾病を申請、前立腺腫瘍と甲状腺腫瘍は未認定とされていました。

 原爆症認定をめぐっては、新基準が適用された昨年四月以降の認定者数が二千人を超えています。一方、申請に対する回答がない各地の被爆者が昨年から今年にかけて、行政不服審査法に基づき、厚生労働省に異議申し立てをしています。


被団協など 国は控訴断念を

 原爆症認定集団訴訟・鹿児島地裁判決での原告勝訴をうけて、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)と全国原告団、弁護団は二十三日、東京・厚生労働省内で記者会見しました。

 鹿児島弁護団の増田博副団長は「原告全面勝利の判決が下された。全国の判決の流れに沿ったものだ。二人のがんは新基準でも当然認定すべきものであり、ごく当然の判決ととらえている」と評価。

 日本被団協の岩佐幹三事務局次長は「原告の十三連勝であり、新基準が出てから七つ目の勝訴判決だ。厚労省の粗雑な審査があきらかになった。判決をふまえ、厚労大臣が一刻も早く訴訟解決にむけ政治判断するよう求めたい」と語りました。

 全国原告団の小西悟氏(日本被団協事務局次長)は「国が負け続けながら認定の処置をしないことは重大だ」と訴えました。

 全国弁連の安原幸彦副団長は「集団訴訟で初めて地裁判決が確定する条件がある。国がもし控訴すれば、それ自体を違法行為として高裁で争うことになる」とのべました。

 記者会見に先立ち、日本被団協などは厚労省に対して、控訴断念と認定基準の再改定、全国の集団訴訟の一括解決をするよう申し入れました。また、鹿児島県の原告団と弁護団、県原爆被爆者協議会、全国弁連、日本被団協は連名で、同趣旨の声明を発表しました。



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