2009年1月20日(火)「しんぶん赤旗」

韓国労働界が反発

賃金引き下げて雇用維持

李政権のワークシェア論

所得増えてこそ内需拡大


 世界的な景気悪化の影響で雇用情勢が急速に悪化する韓国で、「ワークシェアリング(仕事の分かち合い)」をめぐって激論が交わされています。李明博(イ・ミョンバク)大統領は十五日の経済対策会議で、賃金の引き下げを通じて雇用の維持をはかる考えを表明。「危機の克服には、痛みの分かち合いが必要」とする李政権に対し、労働界は、低賃金労働者を増大させ、不況を深刻化させると反発しています。

 「労働者をいけにえにして、危機を回避するのが本音だ」。全国民主労働組合総連盟(民主労総)は十五日、李政権を批判する声明を発表しました。

 同日、李大統領は青瓦台(大統領府)での会議で「苦痛を分担するという観点から、賃金を安定させ、雇用を増やすワークシェアリングについて、具体的な方法を講じるべきだ」と発言。李永熙(イ・ヨンヒ)労働相が「各企業の状況に応じ、労使が一歩ずつ譲歩して苦痛の分担を進めるよう誘導する」と述べたほか、出席した閣僚らから具体的なアイデアも出されたといいます。

 政府の主張に対し民主労総は、「賃金減らしでは雇用は増えない。労働者の所得が増えてこそ内需が拡大し、内需経済が振興してこそ雇用が増える」と反論。「賃金の引き下げで雇用を分け合うよりも、政府が優先的に財政を投じ、雇用を増やすべきだ」と批判しました。

 与党ハンナラ党と政策協定を締結している韓国労働組合総連盟(韓国労総)も十六日、「仕事の分かち合いよりも、賃金削減を強調しているように聞こえる」と批判する論評を発表。「本当に必要だと考えるなら、まず韓国労総をはじめとする労働界の意見を聞くべきだ」と指摘しました。

 韓国の雇用情勢は悪化の一途をたどっており、韓国メディアには、「失業大乱」という言葉も飛び交うほど。統計庁が十四日に発表した昨年十二月の就業者数は、一年前に比べて一万二千人減少。就業者数が減少に転じたのは五年ぶりで、雇用の維持・確保が急務になっています。(中村圭吾)



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