2009年1月19日(月)「しんぶん赤旗」

停戦宣言後 新たに空爆

イスラエル無法示す

ガザ住民の救済が急務


解説

 イスラエルは十七日の攻撃停止宣言後もパレスチナのガザ地区からの攻撃があったとして同地区に空爆を加えました。同宣言は、即時停戦を求めた国連安保理決議をはじめとする国際世論の包囲のなかで出されましたが、新たな空爆はイスラエルの横暴ぶりが変わらないことを示しています。

 イスラエルは先月二十七日、イスラム武装抵抗組織ハマスのロケット砲攻撃を口実にガザ地区への全面攻撃を開始。今月三日には地上軍による侵攻を始め、国連が運営する学校や病院をはじめインフラを徹底的に破壊、パレスチナ人の生活そのものを破壊しました。ハマスの行為は正当化されないものの、イスラエルの攻撃は極めて不均衡な攻撃として国際世論から厳しく批判されてきました。

 攻撃停止宣言は、国際世論と同時に、イスラエルを援護してきた米国でオバマ新政権が二十日に誕生することを意識したものとも受け止められています。

 イスラエル軍はガザ地区に居座り続けるとしており、問題の解決にはほど遠いというのが一般的見方です。

 イスラエルのオルメルト首相は、攻撃停止の理由を「(軍事)作戦の目標が全面的に達成されるという条件がつくられた」ことにあると強調し、「勝利宣言」しました。一方で、「イスラエル軍は現場(ガザ地区)にとどまり、パレスチナ側がたたかい続けようとするならば、これを撃退する」と述べ、攻撃を再開する場合にハマス側に責任を負わせる姿勢を示しました。

 英BBC放送は、イスラエルは今後戦闘が起きるようなことがあれば、攻撃を再開する上で「国際的正当性を持つことになると考えている」と分析しましたが、イスラエルはロケット砲攻撃を口実に、攻撃停止宣言後に新たな空爆を行っています。

 宣言はハマスとの合意なしのものです。イスラエルの左派系のベンアミ元外相は「(検問所の開放に関する)通行の合意がない限り、(イスラエルとハマスの)敵対に終止符が打たれるとは思わない」と述べています。

 ガザ地区をめぐる事態の解決にはイスラエルの同地区からの撤退と封鎖解除が不可欠。イスラエルが攻撃停止を宣言したとはいえ、この間の軍事攻撃で被害を受けたガザ地区の住民の救済、支援は急務となっています。さらに、国際人道法をじゅうりんしてきたイスラエルの軍事攻撃に対する責任は引き続き追及されます。(伴安弘)


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