2009年1月16日(金)「しんぶん赤旗」

11年度から消費税増税路線

異論続出 自民事情

「このままでは選挙大敗…」


 政府が二〇〇九年度予算案の関連法案である税制改定法案の付則に「二〇一一年度からの消費税増税」を盛り込み、“増税のレール”を敷こうとしています。ところが、この問題をめぐって自民党内で執行部と一部議員との“対立表面化”などと報じられています。

 十五日の自民党財務金融部会などの合同会議では、塩崎恭久元官房長官が「消費税を引き上げる前に、まず公務員制度改革や国会議員の定数削減などに取り組まなければ国民の理解は得られない」と方針の見直しを主張。これに対し党税制調査会顧問を務める野田毅元自治相は「社会保障費を賄うためにも財源確保は急務だ。消費税率引き上げに向けた準備を急ぐ必要がある」と反論しました。十四日の党政調全体会議でも中川秀直元幹事長が「(一一年度からの)消費増税は党内で一度も議論されていない」と調整不足を批判するという具合です。

 税制改定法案の付則に消費税増税を盛り込む方針は、麻生内閣が昨年末決定した税制の「中期プログラム」に明記されたもの。自民党はこの閣議決定に先立ち公明党と協議し、消費税増税について「経済状況を好転させることを前提に、二〇一一年度より実施」と合意しています。一一年度からの消費税増税は政府も与党も既定路線です。

 ここにきて自民党内で異論が相次ぐのは、国民の圧倒的多数が消費税増税に反対していることの反映です。また、麻生内閣の支持率が一割台に急落し、「このままでは総選挙での大敗は必至」(中堅議員)という選挙事情もあります。

 ただ、塩崎、中川両氏らが消費税増税に「反対」といっても、貧困と格差を広げた「小泉改革」を徹底すべきだとの立場から。いわば「歳出をどんどん切り詰めていけば、やめてほしいという声が出てくる。増税をしてもいいから必要な施策をやってくれという状況になってくるまで、歳出を徹底的にカットしないといけない」(小泉純一郎元首相、〇六年六月二十二日の経済財政諮問会議)というものです。増税そのものについても“環境はいま整っていない”と、手順・手法を問題にしているにすぎず、負担増を押し付ける立場にはかわりません。


 中期プログラム 正式名称は「持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた『中期プログラム』」。麻生内閣が昨年十二月二十四日、閣議決定しました。消費税を含む「税制抜本改革」を二〇一一年度から実施できるように必要な法制上の措置をあらかじめ講じると明記。この消費税増税方針を〇九年度税制「改正」関連法案の付記に立法上明記することを盛り込みました。麻生首相が記者会見で繰り返し表明した「三年後に消費税増税をお願いしたい」との方針を具体化するプログラムです。



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