2009年1月12日(月)「しんぶん赤旗」

キヤノン、巨額「雇用補助」の県に

大量解雇 連絡せず

大分


 キヤノングループ二社など、大分県から多額の誘致補助金を受けた企業が、大量解雇を強行しても県には、いっさい連絡をしていなかったことが十一日までにわかりました。「雇用機会の拡大」をうたって補助金をうけとっても大企業の身勝手がまかり通る制度であることが浮き彫りになりました。


 大分県に進出したキヤノングループ二社は同県から五十七億七千万円、同様に進出した東芝は五億円の補助金を受けています。

 「雇用機会の拡大」をうたった補助金制度ですが昨年、これを受ける大分キヤノン(同県国東市)と大分キヤノンマテリアル(同杵築市)で計約千二百人、東芝大分工場が期間工三百八十人を解雇しました。

 ところが県から多額の補助金を受けながら、県に解雇について連絡をした企業は一社もありません。

 誘致した企業と県の間では立地協定書をむすんでいます。二〇〇四年にキヤノンと県が取り交わした協定書には「操業短縮等やむなきに至るおそれのある場合は、事前に県及び市に連絡してその対応策に配慮する」としています。

 しかし補助金をもらう企業の大量解雇について県の企業立地担当者は「補助金は、新規の地元雇用や直接雇用に出しているもの。派遣や請負は対象になっていない」といい「補助金の制度は元々、企業から連絡をもらうことを義務付けた仕組みにはなっていない」と認めました。

 「協定書違反ではないか」との本紙の指摘について、県の担当者は「今回は協定書で言う操業短縮には当たらない」から、「協定外である」と説明します。

 こうした県への報告について大分キヤノンマテリアルは「連絡はしていない。当社は減産をしただけ。当社と(解雇された)派遣社員は関係がない」。キヤノン本社も「(協定上の)操業短縮ではない。減産については県に伝えた」といい、キヤノン側は大量解雇であることを認めません。

 こうした大企業の身勝手に口出しできない補助金制度ですが、大分県では〇九年度からさらに「大規模投資促進補助金」の年間限度額を十億円から三十億円へ引き上げる計画です。これにあわせるようにキヤノングループは、今年六月に県内日田市に日田キヤノンマテリアルの工場の着工を予定しています。



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