2009年1月10日(土)「しんぶん赤旗」

民主党提出の農協法改正案 どう考える?


 〈問い〉民主党が「農協法改正案」を参院に提出しましたが、農協や漁協などが政治的中立であるべきかどうかについて貴党はどう考えていますか?(愛知・一読者)

 〈答え〉民主党の改正案は、農業協同組合や漁業協同組合、土地改良区、森林組合、農林中金などを規定した法律に「組合は、特定の政党のために利用してはならない」という項目を加えるというものです。

 提案の理由として、「農協の活動と政治家・政党を支援する活動に境目がなくなっており、一定のけじめをつける」必要があるからとしています。

 農協は、「農業者の協同組織の発達を促進することにより、農業生産力の増進及び農業者の経済的社会的地位の向上を図り、もって国民経済の発展に寄与することを目的とする」(農協法第1条)組織です。

 農協は、さまざまな政治的信条や思想をもった人々から構成されており、組織として特定の政党や候補者を推薦し、選挙運動に動員したりすることは、憲法で保障している個人の思想や信条、良心の自由に反するものです。法律に規定されていなくとも、農協を特定政党のために利用することは許されません。

 しかし、現実には自民党や特定の候補者が農協を利用し、職員を選挙運動に半強制的に動員し、組合員にカンパや投票を強制するなど、個人の政党支持、政治活動の自由を侵害している状況があります。

 同時に、補助金などを通じて行政の補完的な役割も担っています。農協が、組合員の利益と要望にもとづいて、政策・制度要求を掲げて運動することは当然ですが、それは政府・与党に従属した活動ではないはずです。

 いま、わが国の食料と農業は、歴代自民党政権による食料輸入自由化路線のもとで、新たな深刻な危機に直面しており、食料自給率は世界でも異常な40%まで低下してしまいました。

 農民の経営と生活を守り、農協の経営を維持していくためには、政府や財界、大企業の横暴と対立せざるをえなくなっています。農協組織が要求にもとづいて団結を強め、政治的にも自立することが、ますます重要になっています。

 日本共産党は昨年3月に「食料自給率の向上を真剣にめざし、安心して農業にはげめる農政への転換を」という農業再生プランを発表し、農協関係者をはじめ広範なみなさんと対話・懇談をすすめてきました。

 農協については、組合員である農民の要求と運動を基礎にした組織として、農民の利益をまもる役割がはたせるように、民主的な発展を保障することが重要と考えています。(野)

 〔2009・1・10(土)〕


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