2008年12月31日(水)「しんぶん赤旗」

年金58施設売却 08年度

保険料で建設 国民の財産

31件(判明分)は営利企業に


 国民が納めた年金と健康保険の保険料で建設された「ハートピア」「サンピア」などの年金福祉施設が、二〇〇八年度に入って、十二月末までの九カ月間で計五十八施設も売却されていたことがわかりました。名前が判明しただけで、半数を超す三十一施設を大手不動産会社やマンション業者などの営利企業が取得していました。

9カ月間で

 社会保険庁による年金流用や巨大施設への年金積立金投入などへの批判が高まるなか、自民・公明両党は〇五年六月、問題の原因究明をすることなく、「年金・健康保険福祉施設整理機構法」を成立させました。これを受けて発足した厚生労働省所管の独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」が、全国の年金福祉施設三百二施設を売却しようとしているもの。

 同機構がホームページで公表している一般入札結果によると、十一月十四日入札の「秋田厚生年金休暇センター」などで応札者がなく、不成立になるといった例もありますが、ことし四月以降、十二月二十五日までに計五十八施設が売却されました。

 落札者名、用途・目的については、落札者の同意が得られたもののみ掲載しているため、「法人」「個人」とのみ表示されているのが、それぞれ十五施設、三施設。落札者が公表されている四十施設中、社会福祉法人三、自治体二、学校法人、社団法人、財団法人、商工会議所各一のほかは、営利企業が三十一施設でした。

 このうち、東急不動産は、神奈川県鎌倉市の「ハートピア鎌倉」を十一億百万円で落札、分譲用住宅を建てる計画。積水ハウスと長谷工コーポレーションは、「愛知厚生年金会館」を六十五億千三百四十万円で取得、マンションを建てる予定です。北陸電力は九億円で、「石川厚生年金会館」を取得しました。

もうけの対象

 また、横浜市の人材派遣業者は、国民年金健康保養センター「もりおか」(岩手県)を一億二千万円で取得、宅地開発を計画。

 三重県鈴鹿市の不動産業者も「三重県厚生年金休暇センター職員・センター長宿舎」を二千五百二十五万円で落札、宅地にして販売することを計画しています。

 このほか、取得した年金施設をカルチャースクール、自社ビル、学習塾などに転用するなど、国民の貴重な財産が、もうけの対象とされていることが、改めて浮き彫りになりました。

 年明けから年度内に、「サンピア佐久」「ヘルシーパル赤城」など二十六施設が入札予定です。



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