2008年12月26日(金)「しんぶん赤旗」
臨時国会閉会
政治の責任と想像力
国民の未曽有の苦難を前に、政治はいかに“想像力”を発揮し、責任を果たすのか――。二十五日閉会した臨時国会は、この問題をめぐり各党の立場が真正面から問われました。
寒空の失業
その象徴が、世界に冠たる大企業を先頭にした非正規労働者の大量解雇への対応だったことはいうまでもありません。はっきりしたのは、徹底した弱肉強食の「構造改革」路線と決別できない自民党政治の末路であり、これとの対決を貫き、どこまでも国民に寄り添い根本的打開の道を指し示す日本共産党の姿でした。
来年こそ正社員になれるかもしれないとの希望を胸に、低賃金でも必死に頑張ってきた多数の非正規労働者が、正社員登用はおろか、突然、首を切られ、年末の寒風の中に放り出される…。
この非常事態に、政治に求められるものは何か。それは、何の非もないのに解雇された人々が、どれほど深い無念と絶望のふちに追いやられているかについて、あらゆる想像力を働かせることではないか。そして、「一人として路頭に迷わせることはさせない」との断固とした意志を、大企業に正面からぶつけることではないのか。
日本共産党が、政府に対し、大量解雇の実態と違法性、労働者の悲痛な叫びをつきつけ、大企業への厳しい指導・監督を迫った論戦は、この政治の責任をいかんなく発揮したものでした。それは、国会最終盤に与党と民主党がとった立場と比べ、いっそう鮮やかとなりました。
十八日の参院厚生労働委員会。民主、社民、国民新の三党が提出した雇用対策関連四法案の審議で、与党と民主党は終始、怒号と罵声(ばせい)を浴びせ合いました。人の生活と命にかかわる審議をおこなう委員会室が、まさに党利党略のぶつけ合いの場と化したのです。
首を切られた労働者がこの場面を見たら、「おれは会社に見放され、政治にまで見放された…」と思わざるを得ないような状況の中、日本共産党は、雇用対策をなんとか実らせるため、最後の最後まで党派を超えた話し合いを呼びかけました。しかし、民主党は自らの法案をごり押しし、結局、参院は通ったものの衆院で与党により否決され、国民にとっては何も残らないという事態を招いてしまいました。
この“想像力崩壊”は、平和の問題に関しても同様です。
飢えと空爆
政府・与党は、先の臨時国会にひきつづき、衆院での三分の二の多数で新テロ特措法改定案の再可決を強行。米軍のアフガニスタン戦争への自衛隊による支援を延長しました。
アフガンはいま、氷点下一〇度にもなる寒さに加え、大干ばつで数十万人が今年の冬を越せないのではないかと危惧(きぐ)されています。さらに同国民の苦しみに追いうちをかけているのが、いつ終わるとも知れない戦争であり、米軍などによる爆撃です。どの調査を見ても、一昨年より昨年、昨年より今年と民間人の犠牲者が激増しているのです。
寒空の下でおなかをすかせたうえ、空爆の恐怖におびえる日々…。そんな人々の痛みに寄りそうなら、ただひたすら戦争支援にのめり込む選択肢などありえません。
政府・与党の思考停止状態の一方で、民主党はこの問題で、早期の解散・総選挙を促す目的から、採決日程をめぐり与党をリードしました。人々の痛みよりも、党利党略を上に置いたその罪は深く重い。
どの問題をとっても、今後、予断を許さない事態がつづくことは間違いありません。来年一月五日召集の通常国会では、日本共産党の役割が、さらに国民的規模で求められることになります。(小泉大介)

