2008年12月16日(火)「しんぶん赤旗」

タイ新首相に野党党首

タクシン派、政権失う


 【ハノイ=井上歩】タイ下院は十五日、首相指名選挙を行い、反タクシン派で前政権野党・民主党のアピシット党首(44)を新首相に選出しました。昨年十二月の総選挙で圧勝したタクシン元首相派は二〇〇一年以来の政権を失いました。

 反政府市民団体による約一週間の空港占拠など深刻な政治混乱をを受け、民主党が旧連立与党の切り崩しに成功。アピシット氏は二百三十五票を獲得し、タクシン派のタイ貢献党などが擁立したプラチャ国家貢献党党首(百九十八票)に競り勝ちました。

 タクシン派は今月二日、旧最大与党「国民の力党」が憲法裁判所から解党命令を受け、六党連立のソムチャイ政権が崩壊、被選挙権停止で議員も解職され議席数も減少しました。

 指名選挙では旧連立与党から四党の大半の議員と旧国民の力党の有力派閥が、「社会は政界の変化を求めている」などとしてアピシット氏支持に回りました。

 アピシット氏は選出前、「タイへの信頼とイメージを回復し、観光業を復活させたい」と政治危機で深刻化する経済の再建にとりくむ考えを表明していました。

 タクシン派の市民団体は十三日夜に大規模集会を開催。タクシン元首相がビデオ出演し、軍の政治干渉や「司法を使った政治家の弾圧」を非難し、「軍は新政府樹立への干渉をやめなければならない」と述べました。


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