2008年12月13日(土)「しんぶん赤旗」

衆院本会議

新テロ特措法延長案の再議決

赤嶺議員の反対討論


写真

(写真)新テロ特措法延長案再議決で、反対討論に立つ赤嶺政賢議員=12日、衆院本会議

 日本共産党の赤嶺政賢議員が十二日の衆院本会議で行った新テロ特措法延長案の再議決反対討論は以下の通りです。

 麻生内閣は、安倍総理、福田総理と二代続けての政権投げ出しを受けて発足しました。その麻生内閣が、国民の審判を受けることなく、政権投げ出しのきっかけともなったテロ法の延長法案を提出したこと自体が大問題です。ましてや、本年一月につづき、一年間に二度までも参議院で否決された本法案を衆議院の三分の二という数の力で覆すなど、言語道断であります。

 そもそも、自衛隊をインド洋に派遣し、アメリカの報復戦争を支援することが、憲法九条に真っ向から反することは明白です。法律の延長は断じて許されません。

 アフガン情勢打開のためには、軍事から政治への切りかえ以外にないことは、いよいよ明らかになっています。

 アメリカによる報復戦争開始から七年、アフガン情勢は年々悪化し、いま最悪の事態に陥っています。米軍の空爆と掃討作戦で多くの民間人が犠牲となり、それがアフガン国民の反発とさらなる情勢悪化を招いてきたからです。

 今年八月、現地で活動する「ペシャワール会」の伊藤和也さんが武装勢力によって殺害されました。中村哲現地代表は、参議院の審議の参考人として、「外国軍の空爆が治安悪化に拍車をかけている」、テロは「軍事力では絶対になくならない。ますます拡大する」と厳しく指摘しました。

 戦争でテロはなくせない――このことは、いまや明らかです。

 だからいま、アフガンの政治解決が真剣に模索されているのです。

 カルザイ大統領は、タリバンとの政治的和解をよびかけ、交渉がはじまっています。国連だけでなく、軍隊を派遣する国々からも、政治解決を求める声が上がっています。アメリカ政府自身が、タリバンとの対話を検討するなど、大幅な戦略の見直しを迫られています。

 ところが、日本政府だけは、「治安・テロ対策と人道復興支援は車の両輪」などと一年前と全く変わらない答弁を繰り返しています。まさに思考停止ではありませんか。

 アメリカいいなりで、戦争支援をつづけるのは、もうやめるべきです。

 先月来日したアフガンNGO調整事務所の代表代行は、日本政府に対し、軍事支援ではなく、和解交渉や人道支援の促進で主導性を発揮することを求めています。これこそ、日本が果たすべき役割です。

 この間、田母神前空幕長が過去の侵略戦争を美化し現憲法を非難する論文を執筆し、全国の基地で同様の訓示や講話を繰り返し、さらには統合幕僚学校の教育の中に「歴史観・国家観」の課目が位置づけられ、五年間で約四百名の幹部自衛官が履修していたことが明らかになりました。

 重大なことは、田母神氏は、自衛隊が海外派遣を本格的に実行していくための精神的支柱として、侵略戦争を肯定する歴史観・国家観が必要だと主張し、それに同調する空気が自衛隊の中に広がっていることです。

 政府が、一九九〇年代以降、憲法九条に違反して自衛隊の海外派兵を拡大し継続してきたことが、自衛隊の中に侵略戦争を正当化し憲法を否定する、危険きわまりない状態をつくりだしているのです。田母神問題は、まさに政府がすすめてきた自衛隊の海外派兵と一体のものであることを、厳しく受けとめるべきです。

 本法案は廃案にし、自衛隊の海外派兵をやめることを重ねて主張し、再議決に反対する討論を終わります。



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