2008年12月7日(日)「しんぶん赤旗」

就業者 53万人減の米国

景気後退 労働者が犠牲に

各分野に及ぶ


 【ワシントン=西村央】三十四年ぶりに五十三万人の就業者減となった五日発表の十一月の米国雇用統計から、景気後退のなか同国の企業が労働者に犠牲を押し付ける雇用削減をすすめたことが、浮き彫りとなりました。


 雇用統計発表のちょうどその日、米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、一面トップで「企業がレイオフを促進」との見出しで、これまでの企業の人員削減の動きを報じました。

 同紙は、今年に入ってから十月までに百二十万人の雇用が失われたと述べ、製紙会社や企業用事務用品メーカーなどのリストラを例示して、「雇用削減は住宅、金融分野を超えて経済の各分野に及んでいる」ことを指摘しました。

 十一月の雇用統計はこの指摘を裏付けるものとなりました。昨年来低迷が続いてきた建築関係で八万二千人、製造業で八万五千人と雇用減少が続いているのに加えて、就業者減は小売り、ビル管理、会計など幅広い分野に及んでいます。

 小売り関係では十一月は九万一千の就業者減でしたが、自動車販売で二万四千、衣料品関連で一万八千、スポーツ・音楽・書籍など趣味の部門でも一万一千と、人減らしは分野を問いません。

 銀行証券関連では、十一月は二万人の雇用を削減。これは九月の一万三千人、十月の一万九千から増加傾向にあり、金融危機のなかでのリストラがさらに進行していることを示しています。

 ことしの就業者減は一月以来十一カ月連続ですが、一月から七月までは五、六万どまりでした。それが八月に八万を超えると、九月は四十万人台、十月三十万人台とケタ違いになりました。十一月はついに一カ月で五十万人を超えました。オイルショック直後の一九七四年以来、三十四年ぶりのことです。

 十二月に入ってからも二日に電話会社AT&Tが一万二千人、さらに五日には自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)が二千二百人の人員削減を発表するなど人減らしの流れはとまりません。

消費の停滞へ

 各分野に広がる大幅な雇用削減は企業収益の悪化を労働者にしわ寄せしているものです。これは消費停滞へとつながり、実体経済をいっそう弱体化させています。ウォール・ストリート・ジャーナル(五日付)では、「来年終わりには失業率が8%台に突入する」と予測しており、一年前に景気後退期に入った米経済がいっそう悪化することが懸念されています。


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