2008年11月28日(金)「しんぶん赤旗」

中南米6カ国首脳宣言

金融協力で自立化

「カジノ資本主義」を批判


 【メキシコ市=島田峰隆】中南米六カ国でつくる地域機構「米州ボリバル代替構想」(ALBA)の首脳会議が二十六日、ベネズエラの首都カラカスで開かれました。会議は、米国流の「カジノ資本主義」を批判し、中南米独自の銀行(ALBA銀行)の具体化など金融面での地域協力を強めることを目指す宣言を発表しました。

 会議にはエクアドルのコレア大統領がオブザーバーとして参加しました。

 宣言は、現在の国際金融システムは「略奪型の経済モデル」であり、「資本の自由移動と金融投機の論理の支配を促してきた」と批判。七カ国が、米国発の金融危機の悪影響を避けるために、▽ALBA銀行の具体化を進める▽地域共同の外貨準備を設ける▽地域の共通通貨を模索する―ことなどを盛り込みました。

 主催国ベネズエラのチャベス大統領は、「これらの変革で中南米はより自主的で主権のある地域になる。国際通貨基金(IMF)や世界銀行が問題を解決するのを待つわけにはいかない」と語りました。

 各国代表は、新興国の意見を反映したIMF改革や金融規制強化など、十五日にワシントンで開かれた金融サミットの合意実行を求めるとともに資本主義の限界にも触れました。

 ドミニカのスカーリット首相は、「少数者が支配する世界であってはならない」「IMFと世銀の機構全体の再考が必要だ」と強調。

 ホンジュラスのセラヤ大統領は、先進国が起こした危機が新興国に打撃を与えていると批判。「資本主義はまひしている。資本主義は規制されなければならない」と述べました。

 ボリビアのモラレス大統領は「敵は資本主義だ。このことをまず鮮明にする必要がある」と演説。チャベス大統領は「資本主義を葬らねばならない。この危機は社会主義でしか解決しない」と指摘しました。


 ALBA 米国が推進する米州自由貿易圏(FTAA)構想に対抗して、ベネズエラのチャベス大統領が二〇〇一年に提唱して設立された地域機構。中南米独自の相互支援と連帯を強めることが目的。ベネズエラ、キューバ、ボリビア、ニカラグア、ドミニカ、ホンジュラスの六カ国が加盟しています。

 ALBA銀行 金融面での自立の手段として、今年一月のALBA首脳会議が創設を決定。三月にベネズエラなど四カ国が銀行設立協定書に合意。資本金は二十億ドルとし、各国が財政力に応じて出資します。



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