2008年11月28日(金)「しんぶん赤旗」

消費税減税を

“景気刺激に有効”EU勧告

労働者の所得税も


 【ロンドン=岡崎衆史】欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は二十六日、金融危機と景気後退に対応するため、各国に消費税(付加価値税)や労働者の所得税減税を勧告する内容を含む「欧州経済回復計画」を発表しました。再雇用や中小企業の活動支援などEU域内総生産(GDP)の1・5%に当たる総額二千億ユーロ(約二十五兆円)の包括的景気刺激策が盛り込まれています。


 消費税減税についての勧告では、「素早い導入が可能」であり「財政的刺激を与えて消費を支える」と評価し、一時的な税率引き下げの効果を強調。労働集約型サービスや、環境にやさしい製品についてより低い税率を恒常的に適用するよう促しました。また、労働者の所得税減税が低賃金労働者の購買力を下支えすると強調しました。

 英政府は二十四日発表の包括的景気対策で消費税率引き下げを盛り込みました。これに続いて欧州委員会が消費税減税に踏み込んだことは、この経済危機の中の対策として、消費税と労働者の所得税減税が世界の常識となりつつあることを示しています。

 発表された「欧州経済回復計画」では、困難な時期にもっとも困っている人を支援する「連帯と社会的公正」が基本原則としています。二つの柱として、購買力強化と需要を増やすこと、新たな成長へ向けた環境・省エネ技術などへの投資があげられています。再雇用支援や職業訓練では、十八億ユーロの投入を表明。中小企業支援については、欧州投資銀行が三百億ユーロを融資するとしました。さらに、ブロードバンド設備やエネルギー供給網の整備に、五十億ユーロが拠出されるといいます。

 包括策のうち、千七百億ユーロは加盟国が負担し、残り三百億ユーロをEU側が拠出。十二月のEU首脳会議で承認されれば、来年から二年間を対象に実施に移されることになります。



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