2008年11月27日(木)「しんぶん赤旗」

社会保障抑制を維持

財政審建議 消費税増税 具体化促す


 財政制度等審議会(財務相の諮問機関、西室泰三会長)が二十六日、「二〇〇九年度予算編成に関する建議」(意見書)を取りまとめ、中川昭一財務相に提出しました。社会保障関係費の伸びを毎年二千二百億円抑制するとした「骨太の方針2006」の基本姿勢は維持し、「引き続き大胆な財政構造改革に取り組む」としました。

 同建議は、麻生内閣が検討している消費税増税を含む「中期プログラム」が「極めて重要である」と強調。中期プログラムの内容が「絵に描いた餅(もち)にならないよう、政府・与党においてはしっかりした担保が求められる」と消費税増税の具体化を促しました。

 一方、社会保障については「給付と負担の普段の見直しを制度全般にわたり進めていくことが急務である」として、医療・介護のサービスコストの抑制や生活保護の生活扶助基準等の見直しに言及。社会保障の安定財源確保を繰り返し強調しました。雇用保険の国庫負担については「廃止を含め抜本的な改革を行うべきである」としました。

 同建議は、国際金融情勢は「『百年に一度』とも言われる大混乱」に陥り、日本経済は「景気の下降局面が長期化・深刻化する」恐れが高まっているとの認識を示しました。しかし、建議が打ち出した方策は、国民の将来不安を広げ、いっそうの景気悪化を招くものばかりです。


解説

財政審建議

安定財源確保口実 消費税増税を想定

 景気悪化のもとで、二〇〇九年度予算編成に求められるものは、何よりも国民の暮らしを支える対策です。

 財政制度等審議会(財政審)は二十六日、「来年度予算の編成に関する建議」の中で、「景気の下降局面が長期化・深刻化するおそれが高まっている」「国民の将来不安は広がりを見せている」として、きめ細かい配慮が必要だとの認識を示しました。ところが、示された方針は、その認識に逆行することばかりです。

 歳出「改革」のメニューに並ぶのは、医療・介護のサービスコストの抑制や雇用保険の国庫負担の廃止、教員定数の削減など。その上、社会保障の安定財源確保を口実に想定されているのは消費税増税です。これでは、国民の将来不安が増すだけです。

 小泉内閣以来、自民・公明政治が削減してきた社会保障予算は一兆六千二百億円に達しています。年金、医療、介護の改悪が、国民の命と暮らしを脅かしています。

 将来不安を解消するというなら、自公政治によって削減された一兆六千二百億円を復活させ、社会保障制度を拡充させるべきです。

 米国とともに新自由主義の旗振り役だった英国ですら、景気悪化の打開策として、消費税率引き下げを打ち出しました。

 日本でも、せめて食料品にかかる消費税を非課税にすることで家計を応援すべきです。将来不安を取り除き、暮らしを支えてこそ景気悪化を打開することができます。(山田英明)


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