2008年11月23日(日)「しんぶん赤旗」

アラブ和平案で広告

イスラエル紙に異例の掲載


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(写真)イディオト・アハロノトの電子版に掲載された中東包括和平案のヘブライ語版広告

 【カイロ=松本眞志】イスラエル主要各紙は二十日、アラブ連盟の中東和平案=アラブ和平案=を説明するヘブライ語(イスラエルの公用語)の広告文を掲載しました。広告主はパレスチナ解放機構(PLO)。イスラエルのメディアにパレスチナ側の和平案の広告が掲載されたのは異例のことです。

 一ページ全面を使った広告では、冒頭でパレスチナとイスラエルの旗の下に「(中東)包括和平合意と占領終結と引き換えに、五十七のアラブ・イスラム諸国がイスラエルと外交および正常な関係を樹立する」と書かれています。

 ロイター電によると、パレスチナのアッバス自治政府議長の側近ヤセル・アベド・ラボ氏は、広告について、これまでイスラエルの極右勢力が「イスラエルに反対するアラブの陰謀」と歪曲(わいきょく)してきた和平案の中身をイスラエル国民に知らせるためのものだと説明しました。イスラエル紙イディオト・アハロノトは、来年二月に行われるイスラエル総選挙を前にパレスチナ側の主張を国民にアピールすることを狙ったものだと報じました。

 イスラエルのリブニ外相は、広告について和平案を「積極的に評価する」と述べる一方、パレスチナ難民問題とエルサレムの帰属問題で修正の必要があるとの認識を示しました。イスラエルのペレス大統領は十二日に国連本部での演説で同和平構想を評価。バラク国防相も十月に軍のラジオ放送で、「アラブ側と包括和平を追求する時期にきた」と語り、「中東包括和平案を検討している」と述べています。

 イスラエルと国交を結んでいるのは、アラブ連盟(二十一カ国とパレスチナが加盟)の中ではエジプト、ヨルダンの二国のみ。他のイスラム諸国ではトルコなど数カ国が関係を結んでいます。


 アラブ和平案 二〇〇二年のアラブ連盟首脳会議がサウジアラビアの提起を受けて採択、〇七年の同連盟首脳会議が改めて確認した中東包括和平案。(1)イスラエルの占領地からの全面撤退(2)東エルサレムを首都とし、ヨルダン川西岸とガザ地区を領土とするパレスチナ国家の樹立(3)パレスチナ難民の帰還権―をイスラエルが承認することを条件に、アラブ諸国がイスラエルとの関係を正常化するという内容。


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