2008年11月22日(土)「しんぶん赤旗」

北海道サンルダム建設 専門家委員

受注側から半数選任

紙議員の調査で判明


写真

(写真)紙参院議員

 北海道下川町でのサンルダム建設計画(事業費五百二十八億円)に伴い、開発局が設置した天塩川魚類環境保全に関する専門家会議の委員八人うち、半数が事業者である開発局から受注している企業や公益法人から選任されている実態が、二十一日までに国土交通省の資料で明らかになりました。資料は、日本共産党の紙智子参院議員の求めにたいし提出したもの。

 専門家会議(座長・辻井達一北海道環境財団理事長)は、今月上旬、魚道実験でのサクラマス遡上(そじょう)状況などを議論し、「魚道は想定通り機能している」との見解を発表するなど、建設推進の立場を明確にしています。

 専門家会議委員に技術顧問二人が選任されている道所管の社団法人「北海道栽培漁業振興公社」は、二〇〇二年度から〇七年度まで「魚類生息調査」など開発局のダム建設にともなう事業(合計二十一億円)を随意契約で受注しています。毎年の事業収入の四割を開発局からの受注が占めています。

 また、〇七―〇八年度に合計十八件約一億三千万円を受注している(株)エコテックの代表取締役も委員です。

 国交省資料では、〇三年から〇六年まで天塩川水系河川整備について議論し、サンルダム建設の方向へリードした天塩川流域委員会委員長、副委員長ら大学教授・助教授三人には開発局から多年にわたる委託研究、共同研究の契約があることも明らかになりました。

 開発局が大学に委託した共同研究・調査研究は〇三年度から〇八年度まで合計二十件で、うち十二件がこの三人に行われています。テーマは「河川事業調査計画委託事業」などで、委員長個人とそのグループに総額二千四百九十万円、副委員長には「農業用水利用に関する調査研究」名で毎年百三十万円が支払われています。

人選も議論もやりなおしを

紙議員

 紙議員は「サンルダムの建設は、北海道で唯一、サクラマスが自然産卵する川に大打撃を与えることになります。いま真剣に議論しなければならない専門家会議の委員が受注企業・法人に所属していては適切な議論ができるとは思えず、人選も議論もやりなおすべきです」と指摘しています。


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