2008年11月21日(金)「しんぶん赤旗」
ミサイル迎撃試験失敗
技術未確立示す 費用60億円消える
海自イージス艦
海上自衛隊のイージス艦「ちょうかい」(基準排水量七、二五〇トン)は十九日(日本時間二十日)、米ハワイ沖で、弾道ミサイルを撃ち落とす迎撃ミサイル(SM3)の発射試験を実施し、迎撃に失敗しました。試験費用は総額約六十億円。「ミサイル防衛」(MD)システムが技術的に未確立であり、壮大なムダ遣いであることを改めて示しました。
海自イージス艦のSM3発射試験は、昨年十二月の「こんごう」に次いで二回目。試験は十九日午後四時二十分(日本時間二十日午前十一時二十分)ごろ実施されました。
米軍がハワイ・カウアイ島西端のミサイル発射施設から標的の模擬弾を打ち上げ、数百キロ沖合に停泊していた「ちょうかい」がレーダーで探知。模擬弾が大気圏外に到達した段階でSM3を発射しましたが、当たりませんでした。
前回の「こんごう」の試験では、米側から模擬弾の発射時間が事前に知らされ、迎撃に“成功”しましたが、今回は発射時間が分からない“実戦”形式だったとされます。
防衛省は、「こんごう」「ちょうかい」のほか、「みょうこう」「きりしま」のイージス艦二隻も、SM3搭載に向けて改修中です。イージス艦にSM3を搭載するための関係予算はこれまで、約千四百六十七億円(二〇〇四―〇八年度)にも上っています。
日本の「ミサイル防衛」 (1)弾道ミサイルをイージス艦搭載の対空ミサイルSM3を使って大気圏外で迎撃するシステム(2)SM3が撃ち漏らした場合、地上に着弾する最終段階で地対空ミサイルPAC3を使って迎撃するシステム―の2段階からなります。今年9月に実施したPAC3の初の発射試験は“成功”したとされますが、標的の速度は実際の中距離弾道ミサイルの半分以下でした。