2008年11月20日(木)「しんぶん赤旗」

自衛隊幕僚学校の歴史観講義

全講師が侵略美化派

井上議員に防衛省回答


 防衛省は十九日、前空幕長の田母神俊雄氏が統合幕僚学校長時代に新設した「歴史観・国家観」講義の講師名の一部を明らかにしました。日本共産党の井上哲士参院議員の再三にわたる求めに応じたもの。二〇〇三年度からの講義で講師を務めたのは六人で、明らかになったのは五人。うち三人は侵略戦争を美化する「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーです。

 判明したのは、大正大学の福地惇教授、日本文化総合研究所の高森明勅代表、作家の井沢元彦氏、元統幕学校教育課長の坂川隆人氏、冨士信夫・元海軍少佐です。

 福地氏は、侵略戦争を美化する「つくる会」の副会長で、高森氏は理事。井沢氏は、同会のホームページで、賛同者として紹介されています。冨士氏は『こうして日本は侵略国にされた』と題する本を出版。東京裁判について「自虐史観の源流となった」と主張しています。

 また、講義内容の概要も明らかになりました。坂川氏は「誇るべき日本の歴史」として「欧米諸国によるアジア諸国の植民地化に対して立ち向かった日本」を強調。「建国以来の米国の西進は太平洋を越えてアジアに。そこで生起したのが大東亜戦争」と、“自存自衛”論を展開しています。

 氏名が黒塗りになっている一人は、「つくる会」三代目会長の八木秀次・高崎経済大学助教授(当時)とみられます。八木氏は本紙の問い合わせに否定しませんでした。

 麻生太郎首相は井上氏の国会追及に「(講義内容は)バランスのとれた内容に努めることが大事だ」(十三日)と答弁していました。今回の資料により、政府の弁明とはかけ離れた偏向教育が行われていたことが改めて鮮明になりました。



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