2008年11月19日(水)「しんぶん赤旗」

韓国 イーランド解雇争議が和解

非正規職のパワー発揮

闘争512日、180人が職場復帰


 韓国の量販店「ホームエバー」の労働者が解雇の撤回などを求めていた「イーランド争議」で、イーランド一般労組は十三日、会社側との和解協定に調印したと発表しました。非正規労働者四百人の解雇を受けて、同労組が二〇〇七年六月にストライキに突入して以来、五百十二日に及ぶ闘争が終結しました。

 同争議は、当時ホームエバーを運営していたイーランド・リテール社が、「非正規職保護法」施行(〇七年七月)を前に、レジ係などのアウトソーシング(外注)化を決め、働いていた非正規労働者を大量に解雇したことが発端。同法は、勤続期間が二年を超えた非正規労働者を、「期限の定めのない雇用契約」に転換するものですが、同社はこれを嫌い、駆け込み的に解雇しました。

 争議の中心を担ったのは、非正規の“アジュンマ(おばさん)組合員”でした。労組側は、売り場占拠などで会社側に対抗。機動隊による強制排除、労組幹部の逮捕などを経ながら、長期にわたるたたかいを続け、「非正規職のたたかいの象徴」(ハンギョレ新聞十四日付)となりました。

 流通大手のサムソンテスコ・ホームプラスが今年五月、イーランド・リテール社からホームエバー事業を買収したことで、紛争解決に向けた対話が開始。十三日、労使が調印した和解協定は、▽組合に残る百八十人の原職復帰▽十六カ月以上勤務した非正規職の「期限の定めのない雇用契約」への転換▽非正規職への有給休暇付与―などが柱です。

 現在、ホームプラス社で働く非正規職二千人も待遇改善の対象。会社側は、外注化の範囲を拡大しないことも約束しました。

 労組側は、争議活動を理由に懲戒解雇された二十八人のうち、キム・ギョンウク委員長ら十二人の復職放棄を受け入れました。

 キム委員長は、十三日の会見で「五百日も持ちこたえられたのは連帯の力だ」と表明。「非正規職のたたかいは当事者だけでは勝利できない。問題の解決のためには、かならず現場の正規職が共同しなければならない」と語りました。

 京郷新聞十四日付社説は、同争議について「韓国労働運動史の里程標になった」と評価。「おばさん労働者の切々とした訴えがなければ、非正規雇用を乱発する社会の恥部が、明らかにはならなかった」と指摘しました。(中村圭吾)


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