2008年11月17日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

共産党と住民が協力

請願、論戦で願い実った

温水プールつきで建設へ
川崎・多摩区 スポーツセンター

8年ごしで区を動かす
東京・品川区 特養ホーム


 自民・民主・公明などが与党の自治体の多くは国に追随して住民要求に冷たい態度をとっています。そんな中で、日本共産党地方議員団は、住民と協力し願いを請願署名に集め、粘り強い論戦と運動で議会を動かしています。神奈川県川崎市と東京都品川区から報告します。


温水プールつきで建設へ

川崎・多摩区 スポーツセンター

 「これは願いかなった本格スポーツ施設だ」「市民だれもが利用できるバスの便をぜひ」―。川崎市が六月議会で「川崎市スポーツセンター条例」を改正し、多摩区菅北浦に温水プール付き多摩スポーツセンターを設置することを決めました。先日、初めての住民説明会が開かれ、百人を超える市民が集まり、関心の高さを示しました。十七年にわたる運動を続けてきた私たちも、喜びいっぱいです。

 多摩スポーツセンターは、契約金三十六億六千万円余で建設・運営を民間に委託し、開館は二〇一〇年十二月を予定しています。その内容は、フットサルもでき、バスケットコートなら一度に二面分とれる大体育室、柔道や剣道ができる二つの武道場、二十五メートル六コースの温水プール、アーチェリー場やトレーニングルーム、シャワー室などを備え、百四十台分の駐車場も整備される市内有数の総合体育施設になります。

決定が凍結され

 川崎市が多摩区のスポーツセンター建設に向け、本格的に動き始めたのは一九九〇年。私の前任者の市村護郎元市議は「市内七行政区のうちでも多摩区には温水プールやスポーツ施設がないため、ぜひ設置を」と八回も促進を求めて質問。市は温水プール付き多摩スポーツセンターを西菅団地内の公益用地に建設を決定していました。

 いよいよ建設!という〇二年九月。その前年に当選した阿部孝夫市長が、「行財政改革プラン」で三年間で費用対効果などを検証するとして、スポーツセンターそのものの建設を凍結したのです。

 〇三年に初当選した私は党市議団八人(竹間幸一団長、現十人)の一員として、「温水プール付き多摩スポーツセンターの実現」を公約の第一に掲げ、初質問で約束の実行を迫りました。

 地域の皆さんも「温水プール付き多摩スポーツセンターを実現する会」を結成。市長あての署名を集めて、〇三年六月に教育長に提出しました。市長はその後、施設建設は表明したものの温水プールは認めません。

 そこでさらに、〇五年に議会あての請願署名にとりくみました。駅前の署名には市民の足が止まり、署名用紙一千枚を建設予定地周辺に全戸配布し、コンビニに協力をお願いして、店に持ってきてもらう方法にしたら、次々に署名用紙が届けられました。その世論が議会に反映し、全会派が紹介議員になり、趣旨採択されました。

 それをうけ、担当の教育委員会は、公募委員を入れた基本計画検討委員会を設置。その結論は明確に「プールを併設して、誰もが利用できる施設に」というものでした。

計画から17年

 建設凍結を発表してから五年。昨年二月、ついに市長は「温水プールを併設する」と発表しました。建設計画がだされてから十七年目でした。

 住民説明会で発表された基本的な計画では、寄せられていた市民の声がたくさん取り入れられていました。私は建設が決まってからも繰り返し議会で取り上げ、建設・運営が民間に委託されることからもうけ本位にならないこと、地元業者に仕事を出すこと、プールの熱源は環境に配慮することなどを求めてきました。それもかなり反映されています。

 建設予定地が高台にあるため、バス路線を増やすことや駐車場周辺の交通安全問題は依然として残っています。市民の運動で実現した施設をこれからも市民の手で育てていこうと思います。(井口まみ・川崎市議)


8年ごしで区を動かす

東京・品川区 特養ホーム

 東京都品川区で九回の請願運動と日本共産党区議団(南恵子団長、七人)の議会論戦で、区を動かし、ついに特養ホームの増設を実現することができました。

 区は今年七月、区内の八潮地域に二年後の開設予定と発表し、さらに「二〇〇〇年度で特養ホームの整備は完了したとしてきたが、今後特養ホームの整備を柱の一つにしていく」と方針の「切り替え」を明言しました。運動を進めてきた区民と党区議団は八月に「報告会」を開催、「実現できてうれしい」「署名運動がこんなに力になるとは。頑張ったかいがあった」と喜びあいました。

増設しない方針

 区は介護保険が始まった二〇〇〇年に、「これからはケアホーム(有料老人ホーム)」との方針のもとに、八年間特養ホームは一つもつくらず、ケアホームを三カ所整備してきました。ケアホームの利用料は月二十万―三十万円。とても国民年金受給者は入れません。

 この状況に立ち上がったのは、区民による草の根の運動でした。

 特養ホームの増設を求める請願はこの八年間で九回。品川社会保障推進協議会のほか、品川の医療と介護をよくする会(三回)、都南病院跡地に特養ホーム建設を求める会、原小学校跡に特養ホームを求める新婦人班(三回)、八潮地域に建設を進める会などがつくられ、駅頭や地域で署名運動がとりくまれました。区議会に提出された署名は二万人分におよびました。

 区は、「ケアホームの整備は『品川方式』」と言い放って、区民の願いを拒否。議会与党の自民、公明、民主の三党と無所属議員は「ケアホームを進める区の方針を支持する」と、すべての請願に反対しました。

 しかし、昨年十一月の議会で突然、濱野健区長が「整備を検討」と表明。議場は一瞬驚きに包まれました。今年三月の議会では、区は「必要な人は入れている」「整備は団塊の世代対策。十年から二十年のスパン(間隔)で考える」と後退しましたが、七月に区は八潮地域への整備計画を発表し、方針の「切り替え」表明となりました。

カベ打ち破る

 私は区議会厚生委員として、請願運動を激励し、委員会の請願審議では区の姿勢を徹底追及し、増設を迫りました。さらに共産党区議団は八年間で本会議質問で十三回、予算・決算総括質問で六回取り上げました。

 とくに、今年三月議会の総括質問で私は、「品川区の待機者は四百五十人、そのうち入所できたのはたったの13%」「要介護5で八十八歳の人の家族が区に相談したら『九十歳になったら入れる可能性が高くなる』と入所を断られた」「老健施設を三カ月ごとに転々としながら八年間も申し込み続けている」などの実態を具体的に示しながら、「これでも必要な人は入れているというのか。胸が痛まないのか」と迫りました。区の部長は、「たくさんの方がそういう状況にあることは承知している」と答弁せざるを得ませんでした。

 区民が声を上げ署名運動を行い、議会での論戦と結んで世論を広げれば、オール与党政治のカベをうちやぶり要求は実現できる、区政を動かすことができることを示しました。(鈴木ひろ子・品川区議)


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