2008年11月5日(水)「しんぶん赤旗」
宇宙戦略本部
早期警戒衛星を検討
専門調査会 軍事利用拡大へ
政府の宇宙基本計画をとりまとめる宇宙開発戦略本部(本部長・麻生首相)の専門調査会が四日、首相官邸で開かれました。戦略本部事務局は、ミサイル防衛のための早期警戒機能や通信手段の強化など、人工衛星の軍事利用の検討を促進することを提案しました。
事務局は、軍事利用に関係する今後の研究開発で「宇宙機関との連携の方策について検討する必要がある」と指摘。文部科学省が計画中の「災害監視衛星」について、災害監視目的に特化せず、安全保障・危機管理分野への「幅広い用途」を求めました。
今後の人工衛星需要の展望では、宇宙基本法成立により「専守防衛の範囲内での防衛目的での宇宙開発利用が可能になったことから、情報収集衛星以外にも防衛分野などでの宇宙利用の拡大の可能性が考えられる」としています。
開発が暗礁に乗り上げているGXロケットについて、IHI(旧石川島播磨重工業)は「防衛衛星打ち上げに適切な能力を有する」と強調。「安全保障目的に沿った中型の地球周回型低軌道衛星の需要が大幅に増大する」として、防衛省による新しい企画を要求しました。
専門調査会は、二十七日に開かれる次回会合で宇宙基本計画の骨子案をまとめる予定。
宇宙開発戦略本部 宇宙基本法にもとづき、宇宙開発利用にかんする施策を総合的かつ計画的に推進する目的で、今年八月に設置されました。本部長は、内閣総理大臣。副本部長は、内閣官房長官と宇宙開発担当大臣。本部員は、その他すべての国務大臣で構成されます。同法は、宇宙の軍事利用推進を狙って、今年五月に自民・公明・民主の各党が成立させました。