2008年11月2日(日)「しんぶん赤旗」
水俣病は終わっていない
患者の8割 「認定基準 厳しい」
日弁連シンポ
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日本弁護士連合会が行った熊本、鹿児島両県の水俣病患者の調査で、水俣病の公式確認から五十二年を経たいまも、多くの被害者が体の不調や日常生活での不都合を感じながら、満足な補償を受けられずにいる深刻な被害実態が明らかになりました。同連合会が一日、東京都内で開いたシンポジウムで発表しました。
調査は、日弁連人権擁護委員会などの弁護士二十二人が今年六月、水俣病患者百七人から聞き取った結果を集計したもの。
調査結果では、現行の公害健康被害者補償法上の水俣病認定基準について82%が「厳しすぎる」とし、76%が「基準を変えるべきである」と回答。患者救済のために不知火海沿岸住民の健康調査を国、県の負担で実施すべきだとする人も82%にのぼりました。
調査結果を報告した伊達雄介弁護士(日弁連公害対策・環境保全委員会委員)は、「症状の訴えから、厳密な診察をすれば相当数の人が水俣病と認定されるとみられる。差別を恐れたり、自分が水俣病であることがわからなかった人など、これまで申請すらしていない人も多い」とのべました。
三人の患者が訴えに立ち、水俣病不知火患者会の五十六歳の男性は「小さなときから自分は人より劣っていると思ってきた。健康であったら、五体満足だったら、別の人生があった。(加害企業の)チッソや国、県に償いをさせたい。私たちのことを理解してください」と話しました。
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水俣病認定基準 水俣病の認定制度で使われている「昭和52年判断基準」は、複数の症候がみられる患者のみを水俣病とし、一つの症候しかない患者を認めません。厳格すぎる基準で、多くの患者を切り捨てていると批判されています。