2008年10月22日(水)「しんぶん赤旗」

イージス事故

「漁船が主因」と主張

海難審判 あたご側、最終弁論


 イージス護衛艦「あたご」衝突事故の第六回海難審判が二十一日、横浜地方海難審判所(織戸孝治審判長)で開かれました。あたご側の海事補佐人は最終弁論で、漁船「清徳丸」が針路と速度を変えたことが事故の主因だったと主張。指定海難関係人の舩渡健・あたご前艦長(53)らが再発防止策に取り組んだなどとして、前艦長らへの事故再発防止のための勧告は見送るよう求めました。

 審判はこの日で結審。次回期日に裁決が言い渡されます。

 これまでの審判であたご側は、「清徳丸はあたごの右前方から、あたごの後方で行きちがう航路を走っていた」と主張。衝突の危険性はなかったとしています。

 あたご側補佐人はこれを前提に、「清徳丸は(その後)あたごの前方を通過しようと、(衝突約六分前の)午前四時一分ごろまでに右転を始め、同六分ごろにさらに大きく右転し増速した。これがなければ衝突しなかった」と述べました。

 清徳丸の「右転」を示す独自の図も提出しました。

 前回審判で横浜地方海難審判理事所は、あたご側に主因があると指摘。両船が、そのまま進めば衝突の危険が生じる「見合い」の位置関係にあり、相手を右に見るあたごに一義的な回避義務があったとしていました。

 審判後に会見した補佐人は「広い意味で『見合い』の位置関係にはあったが、衝突の危険はなかった」と説明。「新たな危険を作った(漁船)側に主因がある」との説明を繰り返しました。


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