2008年10月22日(水)「しんぶん赤旗」
新テロ法延長案と民主党の対案
赤嶺議員の反対討論
衆院本会議
日本共産党の赤嶺政賢議員が二十一日の衆院本会議で行った政府提出の新テロ特措法延長案、民主党の対案に対する反対討論は次の通りです。
![]() (写真)反対討論に立つ赤嶺政賢議員=21日、衆院本会議 |
政府は、二〇〇一年以降、9・11テロに対してアメリカがはじめた報復戦争を支援してきました。自衛隊をインド洋に派遣し、アフガニスタンへの空爆を行う米軍艦船などに給油支援を行ってきたのです。このような活動が、憲法九条に真っ向から反することは明白です。自衛隊はただちに撤退すべきであり、法律の延長は断じて認められません。
現在の法律は一年前、この国会で大問題になりました。昨年の参議院選挙の審判を受け、安倍内閣は政権を投げ出し、自衛隊はインド洋から撤退したのであります。ところが福田内閣は、あくまで自衛隊派遣に固執し、参議院が否決した法律を衆議院の三分の二の多数で再可決し、押し通したのであります。
今回、与党と民主党の合意で、本会議での趣旨説明・質疑を省略し、特別委員会での質疑もわずか二日で打ち切り、昨日採決されました。
解散をめぐるかけ引きで、憲法九条にかかる重要法案の審議をないがしろにするなど、到底許されません。
いまアフガニスタンで必要なことは、これまでのやり方を根本から転換し、軍事から政治への切りかえを行うことです。
アメリカによる報復戦争開始から七年、アフガニスタン情勢は年々悪化し、いま最悪の事態に陥っています。国連事務総長は、今年九月、「治安情勢は著しく悪化し、八月の治安事件数はタリバン政権崩壊以降最多」と報告しています。国際人権団体も、米軍の空爆による犠牲者が急増し、「アフガン国民の反発を招いている」と指摘しています。米軍の掃討作戦が新たな憎しみと暴力を生み、さらなる情勢悪化を招く悪循環に陥っているのです。
戦争でテロはなくせない――このことは、いまやはっきりしました。
アフガニスタンのカルザイ大統領はタリバンとの政治的和解をよびかけ、交渉がはじまっています。イギリス軍の現地司令官が軍事的な勝利は「不可能」として「政治的解決」を求め、当のアメリカでさえ、戦略の大幅な見直しを余儀なくされているのです。国連の現地特別代表は、いま必要なのは「軍の増派」ではなく「政治の増派」だと強調しています。
麻生首相は「各国が軍を増派するときに、日本だけが撤退する選択肢はない」と言いますが、これは、国際社会の変化を全く見ないものです。アメリカ言いなりの派兵継続は、やめるべきです。ましてや、アメリカの要求に応じて、アフガン戦費負担を検討するなど、もってのほかと言わなければなりません。
政府は九〇年代以降、憲法九条を真っ向からふみにじって、アメリカとともに海外で戦争できる体制づくりをすすめてきました。とりわけ9・11テロ以降、インド洋や戦地イラクに自衛隊を派兵し、ブッシュ政権の先制攻撃戦略につき従って、日米軍事同盟を地球的規模に拡大・強化してきたのです。
いまや、こうした日米同盟強化路線の行きづまりと破たんは明白です。その根本的転換こそ求められているのであります。
自衛隊の海外派兵恒久法づくりをくわだて、憲法を蹂躙(じゅうりん)するなど、言語道断であります。
最後に、民主党の対案は、アフガン本土への自衛隊派遣、恒久法の早期整備を盛り込むなど、憲法違反は明白です。


